場所句倒置


場所格が主語の位置に移動するのを場所格倒置という。基本的には unaccusative に使われる。


(1)

a. There appeared a ghost over the fence.

b. Over the fence appeared a ghost.


(1a) over the fence が場所格でそれが主語の位置に移動したのが (1b) である。動詞は unaccusative で存在や出現を表す動詞の場合が一般的である。とわ言っても unergative でも場所格倒置が可能である。


(2)

a. A young boy walked into the building.

b. Into the building walked a young boy.


(2b) walk は意志を持った主語を必要とする unergative な動詞であるが場所格倒置が可能である。少年がビルに歩いて入っていったことによって存在や出現を表している場合は unergative でも場所格倒置が可能である。このような場所格倒置は否定倒置とは異なる。


(3)

a. The boy has never seen such phenomenon.

b. No such phenomenon has the boy seen.


(3b) は否定語句が移動して倒置が起きたのであるが、場所格倒置は否定倒置のように助動詞の移動は生じない。


(4)

a. Over the fence appeared a ghost.

b. *Over the fence did a ghost appear.


(4b) のように助動詞が移動すると非文となる。これらから場所格倒置の場所格は主語位置に移動したと考えられる。一方、否定倒置の否定語句は CP SPEC位置に移動したので助動詞移動が必須となる。


(5)

a. What did you see?

b. Who saw you?

c. *Who did see you?


これはちょうど上の疑問文と同じく、 (5a) の疑問詞は CPSPEC位置に移動したので助動詞の移動が引き起こされるが、 (5b) の疑問詞は主語位置にとどまっているので (5c) のように助動詞が出てくると非文となってしまう。

場所格倒置に現れる動詞は Levin and Rappaport Hovav (1995) は次のようなタイプであると分類している。 exist, appear などの存在や出現を表す動詞。 arrive go などの方向を表す動詞。 dangle lie などの空間位置を表す動詞。jump swim などの動作の様態を表す動詞、flash puff など放出を表す動詞、そして sway wiggle など体の一部を動かく動詞、さらに sing sleepなどの活動動詞である。


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