語源で覚える英単語

『英単語マジック』(日本実業出版社)から出した本の 抜粋です。インド・ヨーロッパ祖語から分析してあります。結構気に入っていた本だったのですが絶版になってしまいました。最初に「印欧語の音の相関関係」 をお読みください。それから「語源で覚える英単語」を読み進んでいってください。また辞書代わりに使うことも可能です。印欧祖語から覚えるとなかなか忘れ ません。きっと言葉の中心的な概念が頭の中に染み込むからだと思います。ここに挙げあられている単語は普段の授業の一部です。単語の検索は「編集」の「こ のページの検索」からかControl + Fで行ってください。

MEAL「粉」はmallet「小 槌」で作る

「奥歯」の正式な名称は、molar (大臼歯)です。犬歯と異なり、平べったい歯冠にみぞがあるのが特徴です。当然、先がとんがっていないのは、上と下の molars (大臼歯)で食べたものをゴシゴシと噛み砕いて胃の消化作用を手助けする歯だからです。molars(大臼歯)のもとにあるのがmill(製 粉所)です。mill(製粉所)といっても今ではまったく見られなくなってしまいましたが、昔はど のような村にもあった普通の風景です。日本では川縁の水車小屋でしょうか。水力や風力で穀類をmill(製 粉し)て小麦粉などにする場所です。英語の名前でMiller(ミラー)さんというのがあります が、多分、先祖はmill(製粉所)を行っていたのでしょう。mill(製粉所)は最近では見慣れなくなってしまいましたが、皆さんがよくご存知なのがcoffee mill(コーヒー挽き器)でしょうか。coffee(コー ヒー豆)をmill(製粉す)る道具です。mill(製 粉所)の中にあるmillstones(臼)は巨大な石です。挽いた経験のある人は、おわかりにな ると思いますがmillstones(臼)を人力で挽くのは大変な労働です。あまりにも大変なので 水力や風力を使って機械仕掛けでmill(製粉)をしていたのでした。miller(製粉業者)は特殊装置を持った専門職だったのです。貨幣経済がそれほど発達していなかった時代 ではmiller(製粉業者)への報酬は製粉を依頼した人の小麦粉などの一部を手数料として受け 取っていたのでしょう。ここからemolument(報酬)という単語がうまれました。emolument(報酬)とは働いた結果獲得するものという意味です。フランス語を経由して英語に入ってき ました。 mill(製粉所)でmill(製 粉し)たあとにすぐに小麦や豆が使われるわけではありません。製粉したあとにmeal(粗引き粉) ができます。このmeal(粗引き粉)の状態なのが最近、日本でも朝、食べられるようになったoatmeal(オートミール)です。oatmealと はoat(エンバク)をmill(製粉し) てmeal(粗引き粉)状にしたものです。まだ挽いただけの状態ですからごつごつしています。小麦 のmeal(粗引き粉)をふるいにかけて均一の細かい粉にしたものがflour(小麦粉)となります。一般に小麦や豆をmeal(粗 引き粉)にする場合は大きなmillstones(臼)を使ってゴリゴリと臼を回して製粉します。 しかしmillstones(臼)だけでなく、棒などでたたいても製粉することができます。何か金 づちみたいなもので粉末状にする道具もmill(製粉所)と同じ語根を使って表します。mallet (小槌)とは、ゴシゴシならず、バンバンとあるものを粉々にする道具なのです。mallet(小槌)よりも大型のものをmaul(大 小槌)といいます。このような道具で殻をとって出来上がったものをmillet(雑穀)といいま す。meal(粗引き粉)はどちらかというと人間用なのですが、millet(雑穀)は家畜の餌用でしょうか。最後に生贄の動物の頭にかけられた塩で清められたmeal(粗引き粉)から(生贄に捧げる)という意味を持つようになったのがimmolate(生贄に捧げる)です。mill(製 粉所)とはずいぶん変わってしまっています。

MALT「モルツ」はMOLLUSK「軟体動物」だった?

チーズなどが熱に当たりmild「軟らか」くなるのをmelt「溶ける」といいます。malt「モルツ」はビールなどを作るときに小麦にバクテリアを入れて発酵させ てどろどろの状態になったものを言います。malt「モル ツ」ももともとはmild「やわ らかい」と同じ語源だったのです。小麦ではなくて鉄鉱石をどろどろとmild「やわらかに」ものにするのをsmelt「精練する」といいます。鉄鉱石から不純物を取り除く一つの方法です。 鉄や小麦ではなく肌などをmild「やわ らかく」するのがemollient「皮膚軟化薬」です。形容詞で「やわらかにする」という意味もありま す。鉄とか皮膚ではなく体全体をグニャグニャにすることができる動物をmollusk「軟体動物」といいます。mollusk「軟体動物」を研究する学問をmalacology「軟体動物学」といいます。malacology「軟体動物学」ではmollusk「軟体動物」のkcに変わっています。mollusk「軟体動物」とはmild「やわらかい」動物という意味です。mild「やわらかい」のmbに変えてlを音位転換するとbland「ものやわらかな」という形容詞ができます。bland「ものやわらかな」は味を表す場合は肯定的な意味ではなく否定的な「味 のない」という意味に変化します。人に何かをやってもらうためにmild「やわらかく」言うのをblandish「おだてる」とか「丸め込む」といいます。blandishとは「甘言で丸め込む」とか「おだててやらせる」という意味です。

VEGETABLE「野菜」を食べればVIGOROUS「力強い」体ができる

最近の健康食・自然食ブームの中ではvegetable「野菜」のもともとの意味が「活気を与える源」であるといっても、それ ほど驚きはしないでしょう。vegetable、実は「野菜」の以前はwake「起きる」がもとの意味だったのです。「起きている」→「活動してい る」→「活気がある」と変化していったのです。vegetable「野菜」のvw, gkに変えるとwake「起きる」ができます。wakeしている状態は当然、目をあけている状態ですから、いろいろなものを 「見る」ことができます。これがwake「起き る」のkcに変えてできるwatch「見る」です。 wake「起きる」とwatch「見る」は兄弟なのです。しかもwatch「見る」ときは、人は常にwait「待つ」動作をします。立ち止まらなければ、なかなか物をwatch「じっと見る」ことは不可能です。ですからwait「待つ」もwake「起きる」の親戚なのです。wait「待つ」の別の意味の「給仕する」とは、単に待つのみではなく、お客が 何を望んでいるかを見極めながら「待機」していることなのです。一方、wake「起きる」→watch「見る」から生まれた単語がvegetable「野菜」の親戚のvigilance「警戒」です。vigilance「警戒」とは、敵の攻撃に備えて、夜中にwake「起き」ていることを意味します。部下が真面目に働いているかどうか、sur-「上の方から」veilla-「じっと見る」のがsurveillance「監視」です。また、就寝中の兵士をre-「再び」veill-「見覚めさせ」るベルやドラムをreveille「起床太鼓」といいます。すべて「起きる」が基本となっています。wake「起きる」→awake「起きている」→「活動的である」→「活動の源」と発展していったvegetable「野菜」が、人間に与えるものがvigor「精力」です。ちょうどポパイがvegetableのホーレンソーを食べて元気に満ち溢れるのをvigorous「力強い」ともいいます。また、「目を覚ましている」人は、活動的でス バッシッコイものです。velocity「速 度」とは、ちょうどそのスバッシコさを測る単位なのです。スバッシコくvigorous「力強く」させることをinvigorate「元気付ける」といいます。

OLD「年老いる」と声はALTO「アルト」になる

old「年をとっている」とalimony「養育費」の関係にメスを入れてみましょう。old「年をとっている」もalimony「養育費」も、もともとはol「高い」から発展していきました。人間はadolescent「青年期」くらいまでは年齢を重ねる毎にol「高く」なりますからoldが現在の「年をとっている」に変わりました。また、alimony「養育費」とは背が高くなるのに必要な費用というのがもともとの意味で した。adult「大人」とはある「高さ」にad-「到達した」という意味です。接頭辞のad-には「到達」を表わす以外に「方向」とか「途中」という意味もありま す。adolescent「青年期」とか「青年」とは背が高くなる「方向」、つまり背が高くなる 途中という意味です。elder「年 長の」とは、兄弟や姉妹の間でより背が「高い」ところから現在の意味に発展しました。alumnus「卒業生」も、もともとは在学生よりも背が高いというのが「年長の」そ して「卒業生」という意味に変わっていきました。alto「アルト」は女性歌手の中では一番低い部門ですが、男性歌手の中ではア ルトテノールのように「高い」を意味します。男性の中で高いほうの音と女性歌手の中の低いほうの声とがほぼ一致します。altitude「高度」とは、音の高低と異なり、三次元の世界の中の「高さ」を表わす 語です。altitude「高度」をmeter「測るもの」がaltimeter「高度計」となります。年齢や高さの高低ではなく、人間の上下関係を表 わすのがhaughty「高慢な」です。haughty「高慢な」とはalto「アルト」と同じ音を表わしています。exalt「得意にさせる」とは人をex-「とても」alt「高く」持ち上げることです。「高い」位置や位に持ち上げて、有頂天に させるというのがもとの意味でした。coalesce「連 合する」とは、二つのものをco-「一緒 に」合わせてales「成長させ」て大きくすることから、現在の「連合する」とか「合同す る」という意味に変わっていきました。もともと、一つでは十分な政治力を持たない党や国家が、一緒に合わさり、より大きな力になるという政治用語でした。coalesce「連合する」の反対の語がabolish「廃止する」です。old「高い」に否定の接頭辞であるab-がついて、「高くならない」→「廃止する」と発展していきました。abolish「廃止する」とは「成長して」そのものの本来のかたちを作っていくこと をab-「妨げる」ということから、現在の「廃止する」という意味に発展してい きました。proletariat「プロレタリア階級」とはpro-「外に」old「高くなる」もの、つまり「子ども」を産む、つまり「子ども」しか財産 として持っていない「無産階級」という意味でした。ローマ時代、財産がないために、自分のpro-「外に」出てくる「成長する」もの、つまり「子ども」の労働力しか国家 に提供できない階級を表わしていました。ここからproletが「子ども」という意味に発展して、prolific「多産な」という語ができました。prolific「多産な」はproletariat「プロレタリア階級」と同じくpro-「外に」 ol「高くな」ってできたproli「子ども」を-fic「作る」というところから現在の「多産な」という形容詞に変わりまし た。

TERRA「大地」が乾くと沸騰してTORRENT「急流」になる?

昔流行したマンガのタイトルに ゛テラへ゛ というのがありました。 terra とはマンガの中では「地球」を指していましたが、英語では「大地」と いう意味です。しかし terra の もともとの意味は「乾いた」です。「乾いた」→「海と異なる」→「陸地」と意味が変化していったのです。terra 「大地」の t th に変えると thirst 「渇き」ができます。 thirst とは喉が *terra−「乾いた」状態のことです。パンをカラカラに乾かしたのが toast 「トースト」です。 thirst「渇き」の th t に戻してできます。torrid は太陽の熱で焼け焦げた大地を描写するときに使われます。 torrid は「乾ききった」という形容詞です。 torrid 「乾ききった」はそれほど悪いイメージを与えませんが、 torrid weather 「天候」につけると、太陽 がギラギラと照り輝き、今にも暑さと乾きで脱水状態をおこすような不快な天候が浮かびます。一方、 weather 「天候」と異なり、 torrid 「乾ききった」が love 「愛」につくと、マイナスのイ メージが一掃され「熱烈な」とか「情熱的な」イメージに変わるから不思議です。torrid 「乾ききった」の d t に変えてできるのが torrent です。複数形で torrents of rain 「ど しゃぶりの雨」とか、 a torrent of questions 「質問の連発」のように使われる torrent は、「奔流」とか「どしゃぶり」と訳され、まるで、 torrid 「乾ききった」の反意語のように思われます。しかし、 torrid は、「乾ききった」→「熱い」→「グツグツ沸騰している」→「吹き出 る」→「どしゃぶりの」と長い道のりを経て現在の意味になりました。 torrid 「乾ききった」も torrent 「奔流」ももとは同じ意味だったみたいです(他にいろいろ別の解釈もあ ります)。一方、マンガの terra 「大 地」から「地球の」を意味するようになったのが、terrestrial です。 terrestrial 「地球の」は精神的な世界と対比するときにも使われます。terra 「大地」に「中心」を意味する medi−を付けて the をつけると、the Mediterranean 「地中海」ができます。 the Mediterranean 「地中海」と は、「大地の真中にあるもの」というのが原義です。古代の世界は、ヨーロッパ大陸の一部とアフリカ大陸の北部、および中近東で構成されていました。the Mediterranean 「地中海」はまさに地球の中心に位置していた のでした。terra 「大地」は土でできています。土の sub−「下」、つまり subterranean 「地下の」場所にもぐり、ウサギやキツネを捕まえるように改良された犬 が terrier 「テリア犬」です。 terrier 「テリア犬」とは「土犬」という意味です。 Terra 「大地」に「中に」を意味する in−を付けると inter 「埋葬する」となります。 inter 「埋葬する」とは、土を掘りおこし、亡くなっ た人を in−「中に」埋めるという意味です。最後に terrace 「テラス」と terrain 「地勢」です。 terrace 「テラス」はもともと「地 面」を少し高くした所ですが、地質学用語では「段丘」となります。 terrain 「地勢」とは、軍事上の観点からみた土地の形や状態、つまり terra 「大地」の状態のことを意味します。

SPY「スパイ」は見ることのSPECIALIST「スペシャリスト」?

今回はspy「スパイ」のお話です。spy「スパイ」とはチラッと見たりするのではなく、ひっそりこっそりジーッ と*spi−「見る」人のことです。spy「スパイ」の行為を表わすのがespionage「スパイ行為」です。spy「スパイ」の意味の中心となっている*spi−「見る」は、*spi−「見る」対象や方法によって「見る」「見えるもの」、「ジッと見 る」、「考える」などといろいろ変化していきます。inspect「検査する」とは、人が言っただけでは信じられなくて、箱などのin−「中」まで*spec−「見る」ことです。危険がないかどうか、circum−「回り」をキョロキョロと*spec−「見る」のがcircumspect「注意深い」です。respect「尊敬する」とは、あまりにも素晴らしい人物なので何度も何度もre−「振り向いて」*spec−「見る」という意味です。expect「期待する」「予期する」とは、望みを託した人が来るのを、まだかまだ かと、窓のex−「外を」*spect−「見」ながらその人の到来を待つことから現在の意味を獲得しました。 時間的にpro−「先」を*spect−「見る」のがprospect「見込み」です。prospect「見込み」とはpro−「先」を*spect−「見て」得た未来図のことです。自分が優位にいて、上から相手を見下 すように*spi−「見る」のが、de−「下の方を」を意味する接頭辞の付いたdespise「軽蔑する」です。*spec−「見る」は、具体的な物を見るばかりでなく、心に描かれた記憶や心そ のものを *spec−「見る」場合にも使われます。自 分の心のintro−「中」を *spect−「見る」のがintrospect「内省する」です。retrospect「回顧する」とは、自分が歩んできた過去をretro−「振り返って」*spect−「見る」ことです。また、ある人がウサン臭く、信用できそうもない振 舞や言動をするため、直接ではなく目を盗むようにチラッチラッとsus−「下の方」から*spect「見る」のがsuspect「疑う」です。巨大な資金を投資するときは、じっくり時間をかけ、投資 物をよく*spect−「見」ます。これがspeculate「投機する」です。speculate「投機する」には「じっくり見る」ところから「熟考する」という意味も 表わします。*spect−「見る」行為と異なり、「見られる」対象物も*spec−で表わされます。specimen「見本」とはサンプルとして取り出された*spec−「見られる物」です。またspecies「種」とは*spec−「見た」だけで同じものであると識別できる生物学分類上の一分類で す。見た物の本質を *spec− 「見分ける」ことができる人を specialist「専門家」といいます。specialist「専門家」はspecies「種」やspecimen「見本」と同じく「見られる」→「目立つ」→「普通でない」→「専門 家」と意味が変わっていきました。specialist「専門家」の−ecを音位転換して−ceとし、さらに−ceとpをまとめて音位転換してできる語がsceptical「懐疑的な」です。アメリカ英語ではsceptical「懐疑的な」のcはkに変わりskeptical「懐疑的な」となります。ここまでくるとtele−「遠くを」見る道具のtelescope「望遠鏡」やmicro−「小さな」ものを見るときに使うmicroscope「顕微鏡」がspy「スパイ」の親戚であるのも理解できるでしょう。spec−となっているのがラテン系から発展した「見る」でscope−がギリシャ語から発展していった「見る」なのです。

Exit「出口」を出ると、そこはobituary「死亡告示」の世界だった?!

今回はs=tの規則を使って「行く」を意味する語を 探ってみることにしましょう。英単語はラテン語やギリシャ語などの原形から発展した場合と過去分詞などから発展した場合があります。ラテン語などの動詞な どには活用によって語尾がs⇔tと変化する語が多くあります。音韻的にもs,tは舌の先端で音を出すので、それ程異なった音ではありません。「行く」を意 味する語根には、「一歩を踏み出して」行くbase「基 礎」、前の方へどんどん進んでいくprocede「前 進する」、別れて離れて行くfarewell「別 れ」、行ったり、来たりする動作を表わす一般的なinvade「侵入する」などいくつかあります。今回は「始める」のニュアンスの強 いinitiate「創始する」のit−「行く」のお話です。initiate「創始する」とは何か新しいものをin−「中に」it=goさせるという意味です。initiateに形容詞を作る接尾辞−alを付けるとinitial「イニシャルの」ができます。initialの「行く」を意味するit-tsに変えるとissue「発行する」ができます。issue「発行する」とはいままで筆者の考えの中に閉じ込めていたideais=goさせることです。

               initiate

                ↓↓

                 issue   

itinerant「巡回する」とはit-「行く」が「旅行する」に意味が変わっています。行商人などを表わすの にitinerant traderのように使います。itinerant traderとはpeddler「行商人」と異なり、全国各地を行商し回る「旅商人」を表わします。itinerary「旅程」とはitinerant traderがアチコチとit-「行く」プランのことです。travel scheduleとかtrip planのことです。各地をアチコチit-「行く」から発展したitinerant「巡回する」やitinerary「旅程」の後半の部分から発展していったのがerrant「武者修業の」です。全国各地を武芸の修行にアチコチ「行く」というの が原義」です。自己向上の為にアチコチ「行く」のと異なって、フラフラ横道に逸れるのがerror「誤り」です。errant「武者修業の」に形容詞を作る接尾辞−icが付くと、erratic「風変わりな」ができますし、error「誤り」が−ous「たくさんある」とerroneous「間違いのある」という形容詞になります。一方、initiate「創始する」の語根it−「行く」に、副詞的な接頭辞を付けるといろいろな「行く」動きができ ます。まずcircu−「回り」を「行く」とcircuit「巡回」となります。同じく「回り」を意味する接頭辞ambi−を付けるとグルグル回りを「行く」もの、つまりambient「全面をとり囲んだ」ができます。circuitambientと異なってex−「外へ」it-「行く」場所となるとexit「出口」ができます。ある場所から別の場所へと=trans−「行く」のがtransit「通過する」です。transit「通過する」に抽象名詞をつくる接尾辞−ionが付けば位置・地位・状態などがある点から別の点へと「行く」transition「移り変り」ができます。最後に「行く」が「最後まで行く」→「果て る」「命が尽きる」と意味が変化してできたのがtransit「通過する」の形容詞transient「滅びやすい」です。また、per-「完全に」ish-「行く」のがperish(暴力・窮乏などのために)死ぬ」で、そのようなthe deceased「故人」の死亡広告をobituary「死亡告示」といいます。obituary「死亡告示」のob-とは、downのことで、go downというのが原義です。この「行く」にはion「イオン」やanion「陰イオン」、またcation「陽イオン」などの親戚がありますが、何故「行く」がもともとの意味か 御自身で考えてみて下さい。

話すにもELOQUENT「雄弁な」人もいればCIRCUMLOCUTION「回りくどい言い方」をする人もいる。

eloquent「雄弁な」の話からスタートです。eloquent「雄弁な」とはボソボソと口の中でつぶやくのと異なり、音がはっきりとe-「外に」出るようにloq「話す」ことです。eloquent「雄弁な」のqcに変えてできるelocution「発声法」も、eloquent「雄弁な」ための必要最低条件です。eloquent「雄弁な」もelocution「発声法」も、もとはe-「外に」大きくloq「話す」が原義です。loq「話す」に「一緒に」を意味する接頭辞のcol-をつけるとcolloquial「口語体の」という語ができます。colloquial「口語体の」という語は「一緒に」「話す」ところから「会話」を意味し て、現在の「会話体の」とか「口語体の」という意味に変わりました。eloquent「雄弁な」スピーチと異なり、くだけた、やさしい話し方を描写するとき に使われます。loq「話す」に「一人」を意味する接頭辞soli-をつけるとsoliloquy「独白」になります。一方、circum-「回り」をloq「話す」につけると、何か後ろめたいことがあるために、質問の直接答え ず、ノラリクラリと話をする、circumlocution「回りくどい言い方」ができます。また、loq「話す」にinter-「間」を意味する接頭辞をつけると、「二人の間で話す」を意味するinterlocutory「対話の」という形容詞ができます。eloquent「雄弁な」スピーチは、circumlocution「回りくどい言い方」もなく、完結でしかも力強く心に残るものですが、 世の中には中身がないのに誇張してmagni-「大 きく」「話す」人もたくさんいます。このような人のスピーチを描写する時に使われる形容詞がmagniloquent「大言壮語の」です。loquacious「おしゃべりの」とは、ペチャクチャペチャクチャと口の閉じる暇もな く、-ous「たくさん」loq「話す」人を描写するのに使います。またloq「話す」に「反対」とか「悪い」を意味する接頭辞のob-をつけてできる語がobloquy「悪口」です。最後に、loq「話す」に「腹」を意味するventriが合わさってできる語がventriloquism「腹話術」です。ventriloquism「腹話術」とはventri「お腹」でloq「話す」ことです。

VIEW「景色」もVIDEO「ビデオ」も見えてナンボ?!

view「景色」はもともと「見る」を意味するvisという語根からできました。view「景色」とは「見て」目の中に入ってくる像のことです。vista「景色」, vision「視野」,さらにvision「視野」のsdに変えてできるvideo「ビデオ」など、すべてview「景色」の兄弟です。vis「見る」方法は、対象物や目的によっていろいろ変化します。review「復習する」とは一度見たものをre-「再び」見直すことです。survey「見渡す」とはsur-「ずっと」全体をvey「見る」ところから現在の「見渡す」という意味になりました。じろっと 横目で羨ましそうに相手の持っているものをen-「ずっ と」見るのがenvy「羨む」です。re-「再び」直すためにvis「見る」のがrevise「改訂する」です。interview「インタビュー」とは二人のinter-「間で」お互いが見合うところから「インタービュー」とか「会見」とい う意味になりました。このように「見る」にいろいろな接頭辞をつけると、いろいろな語が生まれます。supervise「監督する」とはsuper-「上の方から」全員が怠けずに働いているかどうか見渡すことです。vis「見る」のsdに変わってできるprovide「用意する」もpro-「事前に」見て考えておくところから→「準備しとく」→「用意する」と 意味が変わっていきました。provide 「用意する」の語根のvidevwに、さらにdtに変えてできる語がwitness「証人」です。witness「証人」とは「見た」人のことです。provideをゲルマン語に訳し たのがsee to it というイディオムです。「見ておく」から「用意する」という意味に変化しました。evident「明らかな」は「見える」という意味から発展しました。ま た動詞のevince「明示する」は「見えるようにする」という意味です。vis「見る」という語根は、日本語のものの本質が「見える」という表現と同 じく、「見える」→「理解する」→「知恵」というように意味が変化していきました。「見える」ことは「見渡す力」つまり「知恵」に通じるのです。「見た 人」を表わすwitness「証人」のtsに変えてできる語がwisdom「知恵」です。またwise「賢明な」とは、ものごとの本質をwis-「見渡す」力を持っているということです。また「見通す力」そのものをwit「理知」と呼びます。wisdom「知恵」を他人に与えるのがwisdom「知恵」のwvに変えて、動詞を作る接頭辞ad-のついたadvise「助言する」です。advise「助言する」とは、自分の持っているwisdom「知恵」を相手のad-「方へ」移動させて、相手にも自分が見たものや見た方法を会得させるこ とです。つまり、This is the way I view it. 「このように見ています」という意味がadvise「助言する」です。またwisdom「知恵」を他人に与えながらwit「理知」的な方へと人を導くのがwit「理知」のwgに変えてできるguide「案内する」です。guide「案内する」とは、物理的にまったくview「見る」ことができない人や比喩的に不案内でview「見る」ことができない人をgui「見える」ように光りをさしのべることなのです。

VOCABULARY「語彙」増強の第一歩はVOICE「声」を出して言うことから

vocabulary「語彙」とはvoc「呼び」あげて、ものに「呼び名」を与えた単語の-ly「集まり」というのが原義です。vocabulary「語彙」のもとは「呼ぶ」という語です。「呼んだ」結果,出てくるのがvoice「声」です。リズミカルにvoice「声」を出す人がvocalist「ボーカル」です。「呼ぶ」のが人間と異なり「神」が人間に呼びかけ神 の栄光を実現するための御召しであるのがvocation「天 職」です。vocation「天職」とか「職業」はもともと神のvoc「御召し」に応じて「聖職につく」ことを意味していましたが、宗教改革 以降一般に「職業」の意味に使われ始めました。vocation「職業」のもとはvoc「呼ばれる」ことだったのです。「呼ぶ」を意味する語の別のcall「呼ぶ」のing形、callingvocation「職業」と同じ意味であるのも納得いただけると思います。vocation「職業」に分離を意味する接頭辞a-をつけるとavocation「副業」ができます。もともとavocation「副業」とはvocation「職業」→「仕事」からa-「離れて」くつろぐ、が原義でした。「くつろぐ」→「くつろいでいる時 にやる趣味」から「副業」と変化していきました。voc「呼ぶ」は、呼ぶ対象と呼び方によって、いろいろな意味を加えていきま す。まず、人々をcon-「一緒 に」voc「呼ぶ」のがconvoke「呼び集める」です。voc「呼ぶ」のckに変わっています。evoke「喚起する」とは、人の中に秘めた感情をe-「外に」引き出すべくvok「呼び」かけることです。「外に」とは異なり、pro-「前に」呼び出すのがprovoke「挑発する」です。人の心の中に「呼び」かけて、隠れている感情をpro-「前に」呼び出すことです。開いての「心に」on=in 「呼びかけ」て慈悲や願いを求めるのがinvoke「懇願する」です。invoke「懇願する」とは、神の加護や慈悲を求めてひたすら「呼び」続けること です。「呼ぶ」が法廷に証人として「呼ばれる」ところから「証言する」とか「証明する」という意味に変わったのがvouch「保証する」です。voccchに変わっています。advocate「提唱する」も、もともとvouch「保証する」と同じく、ある人や出来事にad-「対して」証人として「呼ばれた」ところから、「呼び出される」→「証 する」→「提唱する」と意味が変わってきました。「呼ぶ」にre-「もとに」を意味する接頭辞をつけるとrevoke「取り消す」ができます。別の「呼ぶ」を意味するcallre-をつけたrecall「取り消す」と同じ意味です。また、revoke「取り消す」に、可能を意味する接尾辞-ableと、否定を意味する接頭辞ir-をつけてできるのがirrevocable「取り消し不可能な」です。irrevocable「取り消し不可能な」ではrevoke「取り消す」のkcに変わっています。最後にvoc「呼ぶ」のvpに変えてできるのがepic「叙事詩」です。多くの人の前でpic「呼び」あげて語るように唱う詩のことです。

COME「来る」も行くも人間活動のBASIS「基礎」

come「来る」人は、もともと家などの中にいる人と違って、「よそ者」とか 「敵」というニュアンスがついて回りました。しかし訪れてcome「来る」人は敵意のある人ばかりではありません。敵意のある人と区別し て、「良い」を意味する接頭辞のwel-come「来る」につけるとwelcome「歓迎する」ができます。welcome「歓迎する」とはcome「来て」「喜ばれる人」というのがもともとの意味でした。come「来る」はもともとはgwemという形をしていました。gwemwが音消失してgemとなり、gcに変わってcome「来る」ができました。gwemgが音消失してwemとなりwvになり、mnになったのがラテン語系のven「来る」という語根です。ven「来る」は「来る」→「来るもの」→「出来事」→「危険」→「偶発的な もの」といろいろと意味的に変化していきます。ven「来る」に方向を表す接頭辞ad-をつけるとadvent「到来」ができます。あるところに「来る」ことを意味します。adventure「冒険」とは、「来る」かどうかわからない→「偶発的である」→「安定 していない」ので「危険」であるというように発達してきました。多くの人々をcon-「一緒に」来るようにすることがconvene「召集する」です。人と人のinter-「中に」入って来て邪魔をするのがintervene「干渉する」です。また悪いものや出来事が「来る」pre-「前に」予知して難を避けるのがprevent「妨げる」です。一方、新しくてすばらしいものをin-「中に」来させるのがinvent「発明する」です。souvenir「お土産」とはある場所に来たことの記念のsou-「ために」買うというのが原義です。「来る」に「外」を意味する接頭辞e-をつけてできる語がevent「出来事」です。event「出来事」とはe-「外に」「出てきた」ものというのがもともとの意味です。event「出来事」は「来る」の「偶然性」のニュアンスの強い語です。event「出来事」よりももっと偶然性の高いおとをあらわす語がadventitious「偶発的な」です。adventitious「偶発的な」とはad-「あるところへ」ven「来る」かどうかが-ous「とてもある」から現在の「偶発的な」という意味へと発展していきまし た。最後にvenvがに変わり「行く」という意味に変化したのがギリシャ語からできたbasis「基礎」です。「来る」も「行く」も、ある地点から別の地点への移動す ることを表した語です。来るになるか行くになるかは視点をどこに置くかによって異なってきます。到着点に視点をおいて出発点を見れば「来る」になります し、出発点に視点を置いて行為をみれば「行く」になります。basis「基礎」とはba「行く」から「足を踏み出す」→「踏み出した一歩」から「基礎」へと意 味を発展させていきました。水分が体内をdia-「通っ て」尿としてすぐに体外へbet「行っ て」しまうために、絶えずのどの渇きを訴えるのが顕著な症状の一つであるところから名づけられた病気がdiabetes「糖尿病」です。diabetes「糖尿病」もwelcome「歓迎する」ももともとは同じと頃から発展していったのでした。

FAMOUS「有名な」PROPHET「予言者」とPROFESSOR「教授」との関係

famous「有名な」とはfame「名声」が-ous「たくさん」あるという意味です。famous「有名な」のもとになっているfame「名声」はもともとはfam「話す」というのが原義です。多くの人にfam「話さ」れるている→「有名な」と変化していきました。「話す」人は王 様や神様などが臣民や国民に話すところから「招集する」とか「命令する」とか「禁止する」などといろいろな意味に発展していきます。famous「有名な」は多くの人に話されているという意味です。famousfbに変えて、mnに変えてできbanal「陳腐な」です。famous「有名な」と同じく、多くの人に「話される」という意味でした。多くの 人に話されると、新鮮さがなくなり「陳腐」になります。famous「有名な」に否定的な接頭辞de-をつければdefame「中傷する」ができます。defame「中傷する」とは人のfame「名声」をde-「取り落とす」ことです。一方、famous「有名な」に否定の接頭辞in-をつけるとinfamous「不名誉な」という形容詞ができます。infamous「不名誉な」とはfamous「有名な」のちょうど反対の語です。infant「幼児」とはfan「話す」ことがin-「できない」という意味です。infant「幼児」とは話すことができない→「幼児」と発展していきました。infant「幼児」はほかにも「子ども」という意味があります。infant「こども」とはadult「大人」の対概念で、成人ではないという意味に変化していきました。こ の成人でないという意味からできたのがinfantry「歩 兵隊」です。infantryとは一般にinfant「大人でない子ども」から形成されていましたから、このような意味に発 展していきました。眉のつりあがったコワイ人と異なって、いつもニコニコしている人には気さくに声をかけることができます。このような人を形容する語がaffable「愛想のよい」です。affable「愛想のよい」とはfa「話し掛ける」ことが-able「可能な」という意味です。一方、話しかけるのではなく「話すこと」が できないのがineffable「言語で表現できない」です。あまりにも美しかったり偉大であった ような出来事を描写するのに使います。affable「愛 想のよい」の接頭辞af-を取るとfable「物語」ができます。fable「物語」とはfab「話される」ものという意味です。著者が本の冒頭で読者にpre-「事前に」話すのをpreface「序文」といいます。また未来に起こる出来事をpro-「事前に」話す人をprophet「予言者」といいます。prophet「予言者」ではpreface「序文」のpphに変わっています。preface「序文」もprophet「予言者」も、「事前に話す」という意味なのです。自分の犯した罪をcon-「洗い浚い」話して認めてしまうことをconfess「告白する」といいます。confess「告白する」は一般に教会のプライベートな部屋で行われました。一方、pro-「人々の前」で話す人がprofessor「教授」です。professor「教授」とは人前で話す人というのが原義です。人が話すのと異なり神が 人間に向かって話すことは、話し掛けられた人の人生そのものになってしまいます。ここからfate「運命」という語ができました。fate「運命」とは「神に話されたこと」というのがもともとの意味なのです。infant「幼児」のfa「話す」のfbに変えてできるのが、権力者である王様が臣民に話すという意味のban「禁じる」です。ban「禁じる」の名詞の意味に動詞を作る接尾辞の-ishをつけるとbanish「追放する」です。もともと「話す」を意味したbanは「命令」「禁止」「追放」とあまり良い意味を持っていません。contraband「密輸入品」とは、権力者の「話す」命令にcontra-「反対した」ものというのが原義です。abandon「放棄する」も「命令」にa-「従って」という接頭辞をつけて現在の意味に発達していきました。自分 を投げ捨てて相手の言うがままになるという意味です。ban「禁じる」のbphnmに変えるとeuphemism「婉曲語法」ができます。euphemism「婉曲語法」とは、無作法を避けるためにeu-「良く」「話す」方法です。euphemism「婉曲語法」の反対がblasphemy「冒涜」です。blasphemy「冒涜」とはblas-「悪く」はなすというのが原義です。また「非難する」を意味するblameblasphemy「冒涜」が崩れてできた語です。euphemism「婉曲語法」のphemphonに変えるとeuphony「快音」ができます。euphony「快音」とはeu-「良く」話すから「良い音がでる」と変化して現在の意味を獲得しまし た。euphony「快音」の反対が接頭辞caco-「悪い」をつけてできるcacophony「不協和音」です。

make「作る」は土をmingle「混ぜる」ことから始まる

旧約聖書によると人間は神様によって土から創られてそ うです。この作るを意味するmake「作 る」はいろいろなものを混ぜ合わせたり、こねたり、固めたりしていく過程を表わします。なにかをmake「作る」ためには、必要なものをmingle「混ぜ合わせ」ます。makekgに変えればmingle「混ぜる」になります。どんな純粋なものもmingle「混ぜ合わせ」るとmongrel「雑種」になってしまいます。人がたくさん集まってmingle「混ぜ」あっている群集の中に入ってしまったとしましょう。あなたはそ の群集のamong「中に」いることになります。地球の地中ではまだ形もなくゴッタ混ぜの 状態があります。それをmagma「マ グマ」と呼んでいます。食事の時にパンをミルクやスープに浸してmagma「マグマ」のようにゴッタ混ぜの状態にして食べる人がいます。このこと をmacerate「(ものを液体にして)柔らかくする」といいます。magma「マグマ」のgcに変えてできます。この地中深くのmagma「マグマ」もだんだんと冷えて固まってしまうとmass「固まり」になります。このmass「固まり」に動詞をつくる接頭辞のa-をつけるとamass「集める」となります。土ではなく、石をある形にmake「作り」あげる人をmason「石工」といいます。mason「石工」とは土の代わりに石を使ってmake「作る」人のことです。match「競争相手」もmake「作る」の親戚の言葉です。match「競争相手」とは競争に十分に戦うことができるようにピッタリとフィッ トするようにmade「作られた」人というのがもとの意味です。このmatch「競争相手」にはピッタリと一致するから「配偶者」という意味もありま す。

部品を置いて仕事をdo「する」ところがfactory 「工場」

Do 「する」の印欧語祖語dhe-は、何かものを「置く」とか「配置する」というのが原義です。dhe-hが音消失してdo「する」ができました。現代のdo「する」にはもともとの「置く」という意味はあまり感じられませんが、dhe-は「置く」から「置いて形を作る」→「作る」というような意味を得て、 いろいろな語に現われます。do「する」の 受け身の意味を持った語がdeed 「行 為」とdoom 「運命」です。deed 「行為」とは人にdoされるものですし、doom 「運命」とは全知全能の神によってその人に「置かれた」決定されたもの です。dodtに変えさらにtをゲルマン系のthに変えてできるのがtheme「テーマ」です。theme 「テーマ」とは物語りや論文の全体像の核で、 著者によってどっかりと「置かれたもの」というのが原義です。do「する」もoff 「はずす」を意味する接尾辞をつけるとdoff 「脱ぐ」ができます。もともとはdoff 「置かない」という意味だったのです。theme 「テーマ」は本や論文の名kで議論を展開するために中心に「置かれたも の」です。その中心に置かれたtheme「テー マ」の土台となっているのがhypothesis 「仮説」です。hypothesis 「仮説」とはtheme「テーマ」のhypo「下に」thesis 「置かれたもの」というのがもともとの意味でした。一方、印欧語祖語のdhe-dが音消失してhfに変わったのがfac 「作る」です。factory 「工場」とはいろいろな部品を「置く」ところか「組み立てる」という意 味に発展して「作る」という意味になっていきました。office 「事務所」ももともとはfic「作る」というのがもともとの意味でした。face 「顔」も「作られたもの」という意味です。fac「作る」はdo「する」の義兄弟みたいなものです。これにいろいろな語が合わさってい ろいろな語が形成されます。fac「作る」 にmanu-「手」をつけるとmanufacture 「製造する」ができます。近代的なfactory「工場」がなかったときには、作るのは全てmanu「手」でなされていました。「作る」は使役の「させる」という意味に発 展しますからfacもいろいろな接尾辞や接頭辞をつけていろいろな語に発達します。「完全 な」を意味する接頭辞per-を付け るとperfect 「完璧にする」となります。fac-「する」sacri「神聖な」sacrifice「いけにに」になりますし、「否定」を表わす接頭辞のde-を付ければdefect「欠点」ができます。defect「欠点」はfec 「する」とde「しない」とが合わさって「しない」→「よくない」→「欠点」と意味的 に発展していきました。fac 「す る」に「可能」を意味する接尾辞の-ileを付け ると、実現困難なものを可能にするところから「容易な」というfacileという語ができます。facile 「容易な」に否定の接頭辞difを付けるとdifficult 「困難な」という形容詞ができます。effect 「効果」とはもともとef 「完全に」fect 「なされた」という意味です。null 「無効」に使役の意味のfy「する」をつけるとnullify 「無効にする」です。「作る」の文字どおりの意味を保持している語がedifice 「建物」です。edifice 「建物」とは「作られたもの」というのが原義 です。

持ち物をいつかはgive「与え」なければいけないのがdebt 「借金」

「与える」と「保持する」という語は日本語で考えると 全く反対の意味のように思えます。しかし見方を変えて考えてみると、一つの事象を別の方向から見て表現しているだけなのだということがわかります。例え ば、ABとの間で「もののやり取り」が あったとします。Aの人にとって「与えた」行為はBの 人にとって「保持した」行為として表現されます。英語ではこの「与える」と「保持する」は実は同じ仲間の語から発展していったのです。今回はこの仲間たち の語根を考えてみましょう。

まずgive 「与える」からスタートしましょう。give 「与える」のvfに変えるとgift 「贈り物」ができます。giftとは「与 えられたもの」という意味です。次にgive 「与える」に「完全に」を意味する接頭辞のforを付けてみましょう。forgive 「許 す」は相手に対してfor「完全に」心を「与える」ところから、「許す」という意味に発展していき ました。forgive「許す」は他の言語から翻訳借用された語義借用語ではないかと考えられてい ます。for-のラテン系の接頭辞par-と 「与える」を意味する別の語根donとを合わせてもpardon「許 す」ができます。またpar-は「完全に」という強調を表わす接頭辞でもありますから、それと同じ 意味を表わす接頭辞con-を「与える」を意味する語根のdoneに 付けると同じくcondone 「許す」という意味が出てきます。このように「与える」という語 は「許す」と深く結びついているみたいです。give 「与える」は「与える」→「保持する」と 意味的に広がっていろいろな語に現われます。

give「与える」から「保持する」の意味に変わって発達した語がhabit「習慣」です。give「与える」のghvbと対応しています。habit「習慣」とは人が「保 持しているもの」という意味です。inhabit 「住む」は住居のためにある場所を「保持す る」という意味なのでしょうか。建物や場所を「保持する」というところから「住む」という意味になってしまいました。ただ一人で住むのではなく、誰かとco-「一緒に」「住む」とcohabit 「同棲 する」になります。また家の中にしまい込んだものを家の「外に」ex-「与える」とexhibit 「展示する」という語ができます。暴れん坊を家や檻のin-「中に」「保持する」のがinhibit 「抑 制する」です。pro-「離して」「保持する」とprohibit 「禁止する」とう語になります。「能力」もhabi 「保持する」ことができま す。habit 「習癖」のhが音消失し てできた形容詞がable 「可能な」です。able 「可能な」とは「能力を保持している」という意味が原義なのです。de-「離して」 「保持している」ものがdebt 「借金」です。debt 「借金」とは自分の手にから離れて「保持している」ものなので、いつかは「与え」なくてはならないもののことです。debt「借金」がさらに音を変えてできたのがduty 「義 務」です。duty 「義務」までくるとgive「与 える」と同じ仲間であったにしてはあまりにも形が変わってしまっていますから、なかなか理解しにくくなってしまいますね。

tradition 「伝統」は子孫に文化をdonate「寄付する」ことから

tradition 「伝統」とは、ある考えや風俗などをtrans-「人から人へ」dit 「与える」られたものを表わします。tradition 「伝統」を作っているもともとの語はdit = do 「与える」です。donation 「寄付」と同じ語根です。今回はこの「与え る」がどのような語に発展していくかを考えてみましょう。まず文字どおりdo「与える」ことから生まれたdonation 「寄付」から見てみましょう。物でもお金でも無償でdo「与えて」しまうことがdonation 「寄付」です。動詞がdonate「寄付する」です。donate「寄付する」は「与える」を意味するdoに動詞を作る接尾辞のateがついてできました。物やお金をdonate「寄付する」人のことをdonator 「寄付者」といいます。物やお金をただdo「与える」のではなくて自分も一緒についていくと、dowry 「結婚持参金」となります。dowry 「結婚持参金」とは「与えられたもの」というのが原義です。do「与える」に集合名詞を形成する接尾辞の-ryがついています。edition 「版」とは今まで隠れていたものをe-「外に」dit「与えたもの」とう意味です。世の中の人に知らせるために「外に与えら れたもの」というのがedition 「版」のもともとの意味です。edition 「版」とは本や雑誌が外の人に「与えられるもの」のことです。相手に対 してcon-「完全に」自分をdo「与える」ことには、相手のどんなことでも受け入れて、condone 「許す」ことではないでしょうか。今の世の中、なかなか人をcondone 「許す」ことは難しくなってきていますが、condone 「許す」とは「完全に」相手に「自由を与える」というところから現在の 意味に発達していきました。con-「完全 に」と同じ意味の別の接頭辞のpar-「完全 に」に「与える」を意味する語根donを使って も同じ語ができます。pardon 「許 す」はcondone 「許す」と同じく「完全に与える」というとこ ろから現在の意味に発達していきました。pardon 「許 す」の接頭辞のpar-「完全に」のゲルマン系の接頭辞for-「完全に」と、「与える」を意味するゲルマン系のgive「与える」とをつなぎあわせるとforgive 「許す」という語ができます。forgive 「許す」は語根が異なりますがpardon 「許す」と同じ意味であるのは理解ができると思います。「与える」は 「許す」に通じるのです。add 「加 える」もdo 「与える」からできた語です。do「与える」に「に」を意味する接頭辞のad-を付けてadd 「加える」になりました。add 「加える」は「に与える」というのが原義なのです。do「与える」に動詞を作る接頭辞のen-を付けてできるのがendow 「与える」です。このendow 「与える」は単に人間が誰かになにかを「与える」のではなくて「神」が 「人間」にendow 「与える」時に使います。endow 「与える」とは「授ける」という意味の方が ぴったりとします。anecdote 「逸話」もdo「与える」からできた語です。anecdote 「逸話」とは否定の接頭辞のan-と「外へ」意味する接頭辞のex- = ec-とが合わさってできた語です。anecdote 「逸話」とはec-「外に」do 「与える」ことのan-「ない」すばらしい「取って置きの話」というのが原義です。anecdote 「逸話」とは今までにex-「他に」do「与え」an-「ない」すばらしいお話なのです。do 「与える」は人間の病気のときにも活躍します。例えば人間の体の中に毒 物が入って細胞を殺してしまうと人間は最終的には死んでしまいます。この毒物にanti-「反対して」抵抗力をdo「与える」のがantidote 「解毒剤」です。antidote 「解毒剤」とは毒などにanti-「抵抗して」do「与えられたもの」というのが原義です。antidote「解毒剤」も与える量によってはたんなる「毒」にもなってしまいます。 まずどの位の量の薬を与えるか注意が必要です。dose 「投薬量」とは薬などをdo「与える」適量のことです。dose 「投薬量」とは「与えられる量」というのが原義です。tradition 「伝統」とは長年育んだ大切なものというニュアンスがあります。このよ うに肯定的なニュアンスを持つ語ではなく、否定的なニュアンスを持つ、同じdo「与える」から作られる語がtraitor 「謀反人」です。traitor 「謀反人」とはtrai-「自分の国から敵国に」身内の仲間をdo = to 「与える」という意味の語に「人」を意味する接尾辞の-orがついたものです。traitor 「謀反人」とは国家秘密や重要な秘密情報や味方をtrai 「自分の国から敵国に」to 「与える」-or「人」を表わす語です。do 「与える」のdtに変わっています。traitor 「謀反人」の行う行為をtreason 「反逆」といいます。時たまこのtreason 「反逆」によって、国家は敵の前に手を挙げて敵の支配のsur-「下に」自分の国をdo「与えて」しまわなくてはならない場合があります。これがsurrender 「降伏する」です。surrender 「降伏する」とは敵のsur-「下に」自分をdo「与える」-orを付けてsurrender 「降伏する」という意味に変わりました。最後にre-「二度」を意味する接頭辞とdo 「与える」が合わさってできる語がrender 「返す」です。render 「返す」とは文字通り「ふたたび与える」から 「報復として与える」という意味に変わりました。

sit「座る」道具であるchair 「椅子」は特権階級の貴重品

今回はsit「座る」とset「セットする」の関係からスタートです。sit「座る」とset「セットする」はアメリカの小学生や中学生にとっても紛らわしい語でよ くテストに出ます。sitは自分が 「座る」ことで、set「セット する」はものを「座らせる」とこです。もともとsitsetも同じ「座る」という語から発展したのです。sit「座る」のtdに変えてできる語がsaddle「サドル」です。saddle「サドル」とはsit「座る」ところというのがもともとの意味なのです。saddle「サドル」はseat「座席」と同じです。saddle「サドル」のsthに変えてできるのがcathedral「大聖堂」です。cathedral「大聖堂」とはもともと法王のthed「座る場所」のある教会という意味でした。cathedral 「大聖堂」のca-は「下」を意味する接頭辞cata-「下」が音変化したものです。cathedral「大聖堂」とはもともとは「下に座場所」というのが原義なのです。cathedral「大聖堂」とよく似た語がchair「椅子」です。cathedralの「座る」を意味するthedthchに変わってできた語です。chair 「椅子」とsit「座る」はずいぶんと異なった発展の結果、まったく似つかなくなってし まっていますが、両方とも同じ語根から発達した語なのです。chair 「椅子」はもともと法王が座る貴重な品物だったのです。sit「座る」は腰をどっかと落とすところから→「定住する」とか「住む」と いう意味に発展していきます。settle「定 住する」とはsit「座る」と同じ意味だったのです。落ち着くときにはドッカと腰をおろす だけでなく背中を深々とre-「後ろ」 の背もたれに預けて、ゆっくりとsit「座り」 ます。reside「定住する」はsettle「定住する」と同じくre-「後ろに」side「座る」ところから「定住する」という意味に発展していきました。reside「定住する」とは「後ろにドッカりと座って住居を構える」という意味で す。人を意味する接尾辞の-antをつけ るとresident「住人」ができますし、名詞の派生辞をつけますとresidence「住居」ができます。両方とももともとは「座る」という意味です。動き 回らずにsed「座って」する仕事をデスクワークと日本語ではいいますが、英語ではこ れをペーパーワークとか「座ってする」を意味するsedentary「座った」という形容詞を使ってsedentary job「座ってする仕事」というように表します。sedentary 「座っての」という形容詞はもともとはsit「座る」という語から作られたのです。人が一生懸命に働いているとき は、わき目も振らずただひたすら-ous「ずっ と」sid「座り」続けます。assiduous「勤勉な」はこのように-ous「ずっと」sid「座る」という意味から作られました。よく似た単語にsedulous「勤勉な」がありますが、これは「うそがない」というところから「誠実 な」から「勤勉な」となりました。とにかく「働く」ことはこのように「座る」ことと密接に関係があるみたいで、as-「隣に」sis「座る」人をassistant 「アシスタント」と言います。assistant「アシスタント」とはassiduous 「勤勉な」人のそばにいてじっとsis「座っている」人のことを表します。また会議は椅子にsitしたり、テーブルにsit at 「座った」りして行われます。sit「座る」のtsに変えてできるのがsession「会議」です。session「会議」の中で参加した人のpre-「前に」side「座る」ことをpreside「司る」といいます。議事の進行を司るのです。このように会議の進行を 司るためには、会議に参加している人を全員見渡すことができる「前」に「座ら」なければならないのです。「人」を意味する接尾辞の-antpreside「司る」につければpresident「大統領」や「社長」といった語ができます。president「大統領」とは実は会議で単に「前に」「座って」いる「人」という意味 だけなのです。課税のためには、財産や収入を算定する判事のas-「横に」ses「座って」補佐するところから生まれたのがassess「査定する」です。また人間が「座る」のではなく、魔物やキツネなどがob-「近くに」ドッカとses「座って」離れようとしないのがobsess 「取り憑く」です。ドッカと座り込んで出て行こうとしないという意味で す。一方、人がsed「座って」いるにもかかわらず、その人のsuper-「上から」ドッカとsed「腰を落とす」のがsupersede「取って代わる」です。supersede「取って代わる」とは、相手が拒絶しようがどうしようが、その人の上にsed「腰をおろす」がもともとの意味なのです。人が座るのではなく、砂や泥 が川底や容器の底にsed「座る」 のがsediment「沈殿物」です。sedimentには他にも「堆積物」という意味もあります。このsediment「堆積物」に形容詞を作る接尾辞の-aryをつけるとsedimentary 「堆積物の」という形容詞ができます。この形容詞はsedimentary rock「堆積岩」のように使います。砂や泥ではなくて、空気中にあったものが 「座る」のがsoot 「スス」です。soot 「スス」もまたsit 「座る」という語と同じ語源から発達した語な のです。

know「知っている」からcan「できる」

know「知っている」、ignore「無視する」、recognize「認識する」の3つの語はどこかつながっているような気がしませんか。どことなくつな がっていると感じるのは3つの語には共 通項があるからです。共通項はkno「知って いる」です。know「知っている」もignore「無視する」もrecognize 「認識する」もすべて、kno「知っている」がいろいろな形に変化してできたものなのです。knokgに変わり、定を意味する接頭辞のin-が変化してできたのがignore「無視する」です。ignore「無視する」はgno「知って」in-「いない」振りをするところから「無視する」という意味に発展していき ました。一方、kno「知っている」のkgに変わり、強意の接頭辞であるco-がつき、さらに「再び」を意味する接頭辞のre-がついてできたのがrecognize「認識する」です。recognize「認識する」とはre-「再び」co-「正確に」gnize「知る」というのが原義なのです。know「知っている」のkcに変えて、更に音挿入してできる語がcan「できる」です。can「できる」とは何かのしかたを「知っている」というのが原義だったので す。I know how to ski. とほぼ 同じ意味を表すのがI can ski. と同じなのは、もともとknow「知っている」もcan「できる」も同じ語根を持っていて、両方とも親戚だったわけだからなの です。canに現在分詞形を現す接尾辞をつけて、母音のところを変えてできるのがcunning「ずるがしこい」です。cunning「ずるがしこい」とは相手の弱点の裏の裏まで「知って」いて非常に巧み な行動にでるところから現在の意味に発達しました。know「知っている」からはずいぶんと発展してしまいました。knowに動詞を作る接尾辞の-fy「する」をつけるとnotify「知らせる」ができます。know「知っている」状態に-fy「する」というのが原義です。notify「知らせる」の結果を表す名詞がnotice「注意」です。notice「注意」とは「知らされたもの」というのがもともとの意味なのです。あ る悪い性質や行為が-ous「たく さんの」人々にknow「知られ」ているのがnotorious 「悪名高い」です。notorious 「悪名高い」とは「多くの人にたくさん知られている」というのが原義な のです。一方、know「知る」に可能を表す接尾辞-ableがついてできたのがnoble 「高貴な」です。可能を表す接尾辞の母音が少 し変化しています。noble「高 貴な」は「知られる」→「知れ渡っている」→「有名である」→「高貴な」とnotorious「悪名高い」と同じように発展して現在の意味を獲得しました。notorious 「悪名高い」と違い、肯定的な意味を獲得したのがnoble「高貴な」なのです。noble「高貴な」に人を表すman「人」をつければnobleman「貴族」ができます。最後にお医者さんがknow「知る」専門的な語句をみてみましょう。病気の経過などをpro-「事前に」know「知る」ことをprognosis「予後」といいます。prognosis「予後」とは病気の経過や結末の予知のことで、事前に患者さんがどのよ うな経過を得るかを予測することです。prognosisの接頭辞を変えてできるのがdiagnosis「診断」です。pro-「事前に」ではなく、「分離」や「区別」を意味する接頭辞のdia-knowにつけてできました。diagnosis「診断」とはいろいろな症状をknow「知り」他の病気とdia-「区別」するというのがもともとの意味なのです

result「結果」よこれば大いにexult「喜ぶ」

今回はresult「結果」からお話を進めます。result「結果」とは、ある行為をした後に、その行為に対して何かがre-「再び」sult「飛び戻って」くるという意味です。result「結果」の意味の中心をなすのがsult「ジャンプする」です。sultは上にジャンプしたり、前や後ろにジャンプしたりしていろいろな意味に 変化していきます。プラスチックなどを折り曲げておいて、ぱっと手を離したときに起こるのがresilient「弾力性のある」です。resilient「弾力性のある」とは、折り曲げてもre-「元に」sil「ジャンプ」して戻る力のある性質をあらわすときに使われます。うれし さを表現する方法の中で、最高の喜びを表すのが大空に向かってsult「ジャンプ」することでしょう。exult「大いに喜ぶ」とは、うれしさのあまりに、ex-「非常に」高くsult「ジャンプする」が原義です。exult「大いに喜ぶ」ではsult「ジャンプ」のsが強意の接頭辞ex-xの中に消えてしまっています。地球の重力に逆らって、空高くsult「ジャンプ」して体を回転するのがsomersault「宙返る」です。somer「上のほうへ」sault「ジャンプする」がもともとの意味です。体操の「月面宙返り」のmoonsault「ムーンサルト」もこのsomersualt「宙返る」を基にして作られた造語です。自分が一人で飛んだり跳ねたり している場合には、他人には迷惑をかけません。しかし、他人に対して飛び掛ると「攻撃」を表すようになります。assail「攻撃する」とは、as-「敵に向かって」sail「飛ぶ」というのがもともとの意味です。assail「攻撃をする」のほかにも、同じく「ジャンプする」からできたassault「攻撃する」があります。両方とも「敵」に向かって「ジャンプする」と いうのが原義なのです。身体へのassault「攻 撃する」ことと異なり、人の名誉とか名声に対する攻撃がinsult「侮辱する」です。insult「侮辱する」とは、人の名誉や名声のin「上に」sult「飛び乗る」というのがもともとの意味です。insult「侮辱する」とは「人の名誉に飛び掛る」がもともとの意味なのです。人 ごみの中で上に「ジャンプする」と、一人だけ上野方に飛び出ますから、非常に目立つようになります。このような描写を描く語がsalient「顕著な」です。salient「顕著な」とは「ジャンプする」から「集団からはみ出す」から「目立 つ」へと意味が変化していって形成された語です。日本では滝を越えて川上に上る魚は「鯉」とされていますが、英語ではsalmon「鮭」となります。salmon「鮭」とはsalm「ジャンプする」というのが原義なのです。産卵のために自分の生まれた 故郷にsalm「ジャンプしながら」帰る魚のことです。salmon「鮭」とは「ジャンパー」とうのがもともとの意味なのです。最後の、話 題があちこちと飛び回ることを描写するdesultory「取りとめもない」という形容詞で締めくくります。desultory 「取りとめもない」とは一つの話題から次の話題へとsult「跳び」de-「離れて」行くというのが原義です。話し方を描写するのに使われます。

turn「回る」ものがdrill「ドリル」

turn「回る」は大きなカーブをゆっくりと弧を描くように回る場合と、クルク ル小さく回る場合の二つが考えられます。後者の回るはクルクルがグリグリとなって「摩擦する」とか「こすり取る」などいろいろな意味に変化していきます。turn「回る」にre-「もとに」がつくとreturn「戻る」ができます。re-「再びもとに」turn「回る」ことです。工事などのためにまっすぐ通ることができなくて、de-「向こうに」tour「回って」いくのがdetour「迂回路」です。クルクルと回転するの代表がdrill「ドリル」です。turn「回る」のtdに変わり、urが音位転換してできています。drill「ドリル」とはクルクル回転させたて、穴を開けたり、グリグリと擦って どんな硬いものでもバラバラにしてしまう道具です。ものをthrow「投げる」とき、投げられた物体は一般にクルクルとturn「回転」します。throw「投げる」のもともとの意味も物体をturn「回転させる」です。turn「回転する」のtthに変えさらにurを音位転換してthrow「投げる」ができます。また細い繊維をクルクルとturn「回転させ」てできるものがthread「糸」です。throw「投げる」と同じく、turn「回転する」のtthに変わっています。thread「糸」とはクルクルとthr「ネジっ」たものというのが原義です。火をおこすときに棒をクルクルとturn「回転」させるとことから、「擦る」と意味が変化してできたのがtrite「陳腐な」です。trite「陳腐な」とは何度も何度もtri「擦られて」磨り減るくらいに使われてしまって新鮮さを失ってしまった という意味です。trite「陳 腐な」はこのようないturn「回転 する」がもともとの意味だったのです。一方、擦るがそのままの意味で現われているのがattrition「摩擦」です。attrition「摩擦」とは、あるものにat-「対して」tri「擦る」ことなのです。また「回転する」「擦る」から、皮膚などを擦っ てできたアザを見て自分のした行為を後悔するのがcontrition「悔恨」です。回転する、擦る、アザ、後悔すると大きく意味が変化して います。contrition「悔恨」のcon-は「とても」という強意を表す接頭辞に回転を意味するtriとが一緒になってできた語です。実はattrition「摩擦」のほうにも「痛恨」という意味があります。両方とも「回転す る」がもともとの意味なのです。肉や志望が擦り取られてゲッソリと痩せこけるところから「害のある」という意味を獲得したのがdetrimental「害のある」です。detrimental「害のある」とは、健康でふくよかな体つきが、病気に蝕まれてtri「擦り」de-「取られ」るように体重が急激に減るようになるというのがもともとの意 味です。人間の体を覆っている肉と異なり、穀類の硬い皮をtri「擦って」取り除くのがthresh「脱穀する」です。thresh「脱穀する」ではdetrimental「害のある」のもとのtri「回転する」のtthに変わっています。thresh「脱穀する」方法には川を擦り取るのが普通ですが、他にもいろいろな方 法があります。皮のついているものを棒か何かで強く打って硬いカラを除くのも一つの方法です。thresh「脱穀する」の双子の兄弟にthrash「打つ」という語があります。thrash「打つ」というのはもともとは硬い皮の中にある穀類を回転させて皮を擦 り取るというのがもともとの意味だったのです。thrash「打つ」にも当然、thresh「脱穀する」と同じ意味も含まれています。擦り取るものはモミ殻か、厚 くて硬いものですが、擦り取られるものを人間ももっています。人間の場合は厚くて硬いものとは異なりやわらかい皮膚です。皮膚は私たちの体の表面を覆って いますので、穀類の殻と同じようなものです。turn「回転する」のtdに変えてできるのがdermatitis「皮膚炎」です。dermatitis「皮膚炎」とはderm「擦り足られる部分」の-it is「炎症」というのがもともとの意味です。dermatitis「皮膚炎」等の病気を治療する人をdermatologist「皮膚科医」と呼びます。英語の「皮膚」はどうも擦り取られるというよ りは引き裂かれるとうところから発展したようです。dermatologist「皮膚科医」のdtに変えるとtear「裂く」とう語ができます。tear「裂く」も、グリグリとturn「回転」させて殻のような表面を覆っているものを破壊するというのがも ともとの意味でした。つまりtear「裂 く」もdermatologist「皮膚科医」の祖母turn「回転する」の子供なのです。tear「裂く」が音位転換してできるのがtear「裂か」れたあとのtrauma「外傷」です。trauma「外傷」は精神科では「精神的ショック」という意味で使われますstrauma「外傷」とは皮膚や比ゆ的な心をtear「引き裂いて」できる

medicine「薬」をとればaccommodate「適応させる」とこも簡単

medicine「薬」のお話です。medicine「薬」のmedとは「適切な方策をとる」という意味です。病気になったときに適切な方 策をとるために使用するのがmedicine「薬」 です。medicine「薬」のmedは適切な方策をとるの「適切な」や「方策」、さらに「とる」などと単語 によっていろいろと意味が変化していきます。いずれにせよ、節制することの尺度というのが基本にあるように思われます。medicine「薬」に動詞をつくる接尾辞の-ateをつけるとmedicate「薬を投入する」という語ができます。病気になりmedicine「薬」をmedicate「投入する」のもすべてremedy「治療」のためです。remedy「治療」とはre-「ふたたび」もとの健康な状態に戻るようにするというのが原義です。も ともとは「適切な方策をとる」から「ゆっくりと考える」、そして「熟考する」から現在の「治療」という意味に発展していきました。適切な方策をとる人がす るのがmeditate「熟考する」です。meditate「熟考する」とは常にmodest「控えめ」でmoderate「節度のある」人といういみです。modest「控えめな」やmoderate「節度のある」はmedの「適切な」という意味が発展してできた語です。mode「尺度」はmedの「適切な方策をとる」の「方策」の部分を中心に発達した語です。mode「尺度」とは適切な方策をとるために、meditate「熟考して」いろいろな方法の中からベストな選択をするためのmode「尺度」です。mode「尺度」には他にも「方法」という意味もあります。mode「尺度」の双子の兄弟がmodel「モデル」です。このmodel「モデル」に合わせるように変えるのがmodify「修正する」です。modify「修正する」とはmodel「モデル」、つまり「標準」に-fy「合わせる」という意味がもともとの忌み名のです。ラジオのAMとかFMAmplitude Modulation「振幅変調」やFrequency Modulation「周波変調」の略です。AMMmodulate「調整する」という意味の名詞形だったのです。電波の周波数をmode「尺度」またはmodel「標準」に合わせるというのが原義です。modern「現代の」という形容詞も、現代のmode「尺度」に合っているから、現代のとか現代的なという意味になりまし た。最後にやはりmodule「モ ジュール」も全てがmode「尺 度」化されて標準化され、一つの中に一そろいのものが含まれ、取り外しが可能になったもののことを表わします。電話などでmodule「モジュール」というのは、取り外し可能な電話のことです。適切な方策 をとる、の「適切な」の意味が発展してできた語がaccommodate「適応する」です。新しく入った社会や環境のmode「尺度」やmodel「標準」にco-「一緒に」合わせることがaccommodate「適応させる」です。commodious「ゆったりとして便利な」も、何人もの人を抱え込むくらいに、com-「とても」mod「適切」というところから「便利な」という意味を獲得したのでした。

climb「登山する」にはclip「クリップ」とglue「接着剤」が必要?

皆さんの中には山登りが好きな方も多いと思いますが、 この山登りを表わすclimb「登 る」はハイキングと違ってかなりの専門的な技術を要するロッククライミングと似ていると聞くと驚くかもしれません。climb「登山する」のもとの意味をたどってみると「ピッタリくっつく」とか 「ひっつく」に行き着きます。climb「登 山する」の原義は「しがみつく」とか「ひっつく」という語で、その意味がいろいろと転じて広がっていきました。ペラペラした紙などは、どこへ飛んでいくか わかりません。ですから、しっかり「くっつける」ものが必要です。それをclip「クリップ」といいます。子どものデパートのおもちゃ売り場につれてい くとどうなるでしょうか。かって欲しいおもちゃに「ピッタリとくっついて」離れません。このようにしがみついて離れないことをcling「しがみつく」といいます。ボクシングのclinch「クリンチ」もぴったりとすがり付くというのが原義です。され、あのお いしいclam「ハマグリ」もこの仲間です。一度、口を閉じたらピッタリとくっついて 開けるのに苦労するではありませんか。人間と異なって動物が木登りが上手なのは、落ちないようにピッタリ木にしがみつけるようにclaw「かぎ爪」があるからです。このclaw「かぎ爪」も、clinch「クリンチ」などと同じ仲間だとお分かりになるでしょう。ピッタリくっ ついたものは、離そうにもベタベタとして離れにくいものです。そこから生まれたのがglue「接着剤」とclay「粘土」です。claw「かぎ爪」やclinch「クリンチ」のcgに変わっています。このgcに戻せばやはりネバネバした性質をもったclay「粘土」ができます。くっついて離れない、ネバネバしたものがさらに進 むとcloud「雲」になります。cloud「雲」とは固まりになっているものというのが原義です。青い空にポッカ リ浮かんでいる雲は、実は小さな水分がいっぱいくっついてできた「固まり」という意味なのです。脳血栓を引き起こすのは、脳の血管にclot「固まり」ができるからです。この血などで固まったものであるclot「固まり」もcloud「雲」の仲間だとお分かりいただけるでしょう。clump「木立」もまた、cloud「雲」と同じく、固まっているものから木立へと意味が変化していきまし た。club「こん棒」は一見、どうして仲間であるか分からないかもしれませんが、 これはもともと先にこぶのような「固まり」のついた太い棒というのが原義なのです。ですからちゃんとclub「こん棒」もcloud「雲」やclip「クリップ」やclimb「登山する」の仲間なのです。毛糸をまいて玉にすると、毛糸の固まりをclew「糸玉」ができます。このclew「糸玉」の糸を手繰るように事件などをたどっていくのがclue「糸口」です。このclew「糸玉」のcgにかえると、globe「球」ができます。globe「球」になってもやはり「固まり」です。最近の企業の国際化や景気循環 のリスクを避けるために、異種業種の企業をcon-「一緒 に」かき集めてくっつけたのがconglomerate「コングロマリット」です。日本語で「複合企業体」とも呼びます。agglomerate「集塊」も同じく「固まり」がもともとの意味なのです。

触れ合ってcontact「連絡する」とcontaminate「汚染する」わけは

今回は日本語にもなっているcontact「連絡する」からスタートです。contact「連絡する」とはcon-「一緒に」tact「触れる」ということです。人と人が一緒に触れ合うのがcontact 「連絡する」という意味です。contact「連絡する」と同じく日本語になっているのがtangent「タンゼント」です。tangent「タンゼント」とは円に一点でtang「触れている」線のことで、漢字で表すと「接線」となります。数学の 「タンゼント」になったのは接線とその接線に垂直に降ろされた線からなる三角形の辺の関係を表すのに使われたためです。「タンゼント」といいうよりも「接 線」の方がもともとの意味なのです。人や線が接するのではなくて、人間とウイルスとが接するのがcontagion「伝染」です。contagion「伝染」の危険性のある病気をcontagious「伝染性の」といいます。contagious「伝染性の」gcに変えてできるのがtact「機才」です。tact「機才」とはそっと触れなければバラバラになってしまうような物や人間 関係を「巧み」に操る術のことです。taste「味」 もtact「機才」と同じく「触れる」というのが発展してできた語です。taste「味」とは下で触れて味覚を味わうことから現在の意味を獲得しました。 古代の人々は「触れ」られたら新鮮さや純粋さを失い、汚く悪くなると考えていたようです。contaminate「汚染する」とは多くの人が一緒に触れて純粋さや純真さを失うところか ら現在の「汚染する」とか「不純な」という意味に変化していきました。contaminate「汚染する」」ではラテン語のcontagmengが音消失してしまっています。contaminate「汚染する」とは異なり、誰ととも触れずに一人ひっそりとしていること は「純粋」とか「完全」というニュアンスをもつことになります。tact「触れる」に否定の接頭辞のin-をつけるとintact「そのままの」という語ができます。intact「そのままの」とは触れられていない、つまり完全なという意味が原義な のです。in-と同じ意味の接頭辞がen-です。このen-という接頭辞がつくとentire「完全な」という形容詞ができます。entire「完全な」もintact「そのままの」も同じように「触れられていない」から「完全な」という 意味に変化していったのでした。同じ触れられていないから比喩的に人間の性質をあらわすのがintegrity「誠実さ」です。integrity「誠実さ」もintact「そのままの」とentire「完全な」の兄弟なのです。tangent「接線」のように触れることがかのうなものは、夢や空想とことなり形が はっきりしていて具体的な価値をもっているものです。「触れる」を意味するtangに「可能」を意味する接頭辞の-ibleがついてできたのがtangible「具体的な」です。tangible「具体的な」とは手で触れることができるというのが原義です。このtangible「具体的な」にsをつけるとtangibles「私有財産」になります。tangibles「私有財産」も人の考えや才能と異なり具体的に手で触れることのできる ものですから、「触れることができる」から「触れることができるもの」へと意味が変わり現在の「私有財産」という意味に変化していきました。tangibles「私有財産」に国家が手を触れて自分のものにするのがtax「税金」です。tax「税金」とはtangibles「私有財産」に課した仕事というのがもともとの意味です。国家が国民に 課したtask「仕事」がtax「税金」なのです。task「仕事」もtax「税金」も両方とも「触れる」という語から発展してできたものなので す。

carpenter「大工」さんはcar「車」より速く走る

car「車」のお話です。東京をはしるcar「車」はヨチヨチ這うといったほうがはるかに適切なときもあります。car「車」は人が歩くよりは速く走ってもらいたいものです。car「車」の原義は「走る」なのですから。コンピュータの画面に現れる、縦 横自由に「走り」回るものをcursor「カー ソル」といいます。car「車」と 同じく「走る」という意味です。勢いよく「走る」ように流れる水の流れをcurrent「流れ」といいます。current「流れ」は今、現に「足っている」ところから「現代の」という意味にも 発展します。人と人との会話もcurrent「流 れ」のように走ってdis-「あれ これと」話題を変えます。この会話の「走り」をdiscourse「談話」と呼びます。会話とは異なり、実際にレースなどで走るところをcourse「コース」と呼びます。英単語の増強course「コース」もヨチヨチ歩くのではなくて走らなければいけないのです。修 学旅行の訳にschool excursionというのが使われます。こ のexcursion「周遊旅行」もex-「外を」cur「走る」というのがもともとの意味です。外と異なり家の中を走るのがcorridor「廊下」です。部屋から部屋へと走っているように見えるからです。cur「走る」に同時を意味する接頭辞のcon-をつけばconcur「同時に起こる」ができます。concur「同時に起こる」とはある出来事とcon-「一緒に」別の出来事がcur「走る」、つまり「流れる」という意味です。re-「再び」を意味する接頭辞を「走る」につけるとrecur「元に返る」とか「思い出される」ができます。さらにin-「中に」を意味する接頭辞をつけるとincur「(危険、非難を)招く、こうむる」という語ができます。また、一般の 人たちよりもpre-「先に」cur「走る」人をprecursor「先駆者」と呼びます。car「車」のようにそれ自身が走ったりするのではなく、走らされるのがcargo「荷物」です。ここからcarry「運ぶ」という語ができてきます。carry「運ぶ」とはcargo「荷物」を走らせるとうのがもともとの意味なのです。carry「運ぶ」とはcargo「荷物」を走っていどうさせるということだったのです。career「キャリア」は仕事などに関して本人が走ったcourse「コース」というのが原義です。career「キャリア」とは走れば走るほど長くなるものなのです。car「車」のcchに変えてできるのがcharge「攻撃する」です。剣かなにかを持って敵に向かって走るというのが原義 です。ローマ時代のchariot「戦 車」ももともとcar「車」を走らせて敵を攻撃するのに使われました。chariot「戦車」も「走る」がもともとの意味なのです。chariot「戦車」のような乗り物を木などを材料として作る人も「走る」という意 味を含んだcarpenter「大工」と呼びます。carpenter「大工」さんはcar「車」を作るのが重要な仕事だったのです。

国内にferry「運ぶ」ものは全てimportant「重要な」もの

ferry「フェリーボート」のお話からスタートです。ferry「フェリーボート」には船という名詞以外に「運ぶ」という動詞の意味も あります。しかしferry「運 ぶ」には、運ぶ途中の障害物を取り除き「通れるように」する必要があります。ferry「運ぶ」とは単純にものを移動するというだけでなく、「運び入れる」と か「運び出す」という意味なのです。ここからferry「運ぶ」の兄弟には「通り口」とか「入る」とかいろいろな意味に発展し ていきます。ferry「フェリー」のfpに変えてできるのがport「港」です。port「港」とは船や飛行機で運ばれた人やものが「通って」国の中に入ってい くことが可能な「玄関」みたいなところです。port「港」を通過するのに必要な書類をpassport「パスポート」と呼びます。port「港」や「空港」を通過するのに必要な書類です。国とは異なり個人の家 を通過する場所がporch「玄 関口」です。人が家の中に入っていくときに通過する場所です。また、汗が体外に出るport「港」みたいなものがpore「毛穴」です。pore「毛穴」の場合は体外から体内に物が入っていくというよりは、体内の汗 が外へ出て行くときに通過する場所がpore「毛 穴」です。port「港」やpore「毛穴」などの通過と異なり「運ぶ」とう意味が全面に出た語がexport「輸出する」です。もともとはport「港」のex-「外に」物を出すとう意味でした。export「輸出する」の反対がex-「外に」の反対の接頭辞であるin-「中に」がついたのがimport「輸入する」です。port「港」の中に入れるという意味が原義です。import「輸入する」ものは非常に貴重なものでした。ここからimportant「重要な」という形容詞ができました。important「重要な」とはimport「輸入する」ものというのがもともとの意味なのです。tans-「ある点から別の点へ」port「運ぶ」とtransport「運ぶ」ができます。transport「運ぶ」とはものをある地点から別の地点まで運ぶとう意味です。transport「運ぶ」ときにはいろいろなものが「行き来」します。transportation「交通」ものや人があっちこっちと移動することを表わしています。また 人を国からde-「外へ」はこぶことがdeport「国外追放する」です。father「父」のところで説明したexpatriate「国外追放する」とdeport「国外追放する」はまったく同じ意味です。国から国へと運ぶのと異なっ て、もっと短い距離を運ぶ人がporter「赤 帽」です。porter「赤帽」とはport「運ぶ」に「人」わ表わす接尾辞の-er「人」がついたものです。porter「赤帽」とは「運ぶ人」というのがもともとの意味なのです。運ぶに「可 能」を意味する接頭辞の-able「可 能な」をつけるとportable「携 帯用の」という形容詞ができます。取材をして、その土地で見聞きしたものをre-「もとに」運んでいく人をreporter「記者」といいます。最近は新聞記者に加えてテレビのreporter「記者」も活躍しています。彼らが活躍する裏には縁の下の力持ちいま す。縁の下の力持ちたちはreporter「記 者」が移動したりreport「報 告したり」するのをsup-「下の ほう」から支えながら運ぶのを手伝っています。この人達がする行為がsupport「支える」とか「支持する」です。support「支持する」はもともとsup-「下から」運ぶという意味でした。バスは電車に乗って、transport「運ばれ」とときに支払うのをfare「運賃」といいます。transport「運ぶ」のpfに変えてできます。fare「運賃」は日本語と同じく運ぶためのお金というのが原義なのです。fern「しだ」も、ちょうど鳥を「運ぶ」羽根のような形をしているところからfern「しだ」と名づけられました。sport「スポーツ」は、悩みや気の塞ぎを運び去り快適にするとうのがもともと の意味でした。今では「楽しむ」という意味で使われます。disportdiが音消失してできたのがsport「スポーツ」なのです。sport「スポーツ」とはdisporot「楽しむ」ものなのです。

tent「テント」とthinner「シンナー」は「引っ張る」の親戚?!

キャンプなどで使うtent「テント」のお話です。tent「テント」はピーンと引っ張らなくてはすぐに崩れてしまいます。tent「テント」はtense「緊張」の状態が良いのです。実はtent「テント」やtense「緊張」は「ピーンと引っ張る」というのが原義なのです。tent「テント」のtdに変え、ex-「外に」をつけるとextend「延長する」ができます。extend「延長する」とは「外に引っ張って」「延ばす」ということです。dis-「外側に」をつければdistend「膨らます」となります。pretend「振りをする」とは口実などをpre-「人前で」tend「広げて」信じてもらえるようにオーバーに見せびらかすところから現在 の「振りをする」という意味に発展していきました。またintend「意図」も自分の気持ちや注意を心のin-「中に」tend「引き入れる」というのが原義なのです。「引き伸ばす」→「伸びる」→ 「もろくない」→「耐える」→「抱える」と意味が変化していった語がcontain「含む」です。contain「含む」とはcon-「一緒に中へ」tain「抱える」というのが原義です。tain「抱える」に動詞を作る接頭辞のob-がつけばobtain「獲得する」になります。main「手」をつければmaintain「維持する」になります。maintain「維持する」とは手でしっかり「抱えている」ことです。maintain「維持する」と同じような意味の語にretain「保持する」があります。re-「しっかりと」tain「抱えて」いることです。一方、抱えているのをとりやめるのがab-「離す」を意味する接頭辞のついたabstain「控える」です。しっかりと抱えたまま、最後までやめないで抱え続ける のがtenacious「粘り強い」という形容詞です。しっかりと「抱えている」ニュアンス と、どんなにten「引っ張っても」ちぎれないニュアンスを持ち備えています。tenacious「粘り強い」がper-「度を越す」とpertinacious「しつこい」になってしまいますので気をつけてください。また粘り強く どんなに引っ張られても伸縮自在な筋をtendon「腱」 といいます。「伸ばす」→「薄くなる」と意味が変化していった語がtenuous「希薄な」です。tenuous「希薄な」のtthに変えると、同じ意味のthin「薄い」ができます。日本語になっているthinner「シンナー」とは「薄くするもの」という意味です。tenuous「希薄な」に、動詞を作る接頭辞at-をつけるとattenuate「細くする」ができます。「引っ張って伸ばす」が原義です。ex-「外に」「引っ張って伸ばす」と「薄く」なります。これが比ゆ的に法律 用語に変化したのがextenuate「酌量する」です。extenuate「酌量する」とは刑罰などを「引っ張って薄める」つまり「刑罰などを軽 くする」というのが原義なのです。

blue「青」は赤々と燃えるflame「炎」の色

blue「青」と「赤」の色がもともとは同じであったというと、目を白黒させ、 疑いの眼をむけられるかもしれません。しかし実際には青も赤も白も黒も、これら全ての色はflame「炎」のいろいろな色から発展してできたのでした。flame「炎」のfbに変えてできるのがblue「青」です。青白くボーッと燃えているflame「炎」の色です。blue「青」の隣の炎の色を表わす形容詞がblank「白紙の」です。現在ではblank「白紙の」は「白い」というよりも「なにも書かれていない」という別の 意味に転化していますが、もともとは「白」を意味しました。もともと「白」を表わしていたblank「白紙の」のkc、さらにcchに変えてできる語がbleach「漂白する」です。bleach「漂白する」とはblank「白紙の」ように真っ白にしてしまうことです。またblank「白紙の」のnを音焼失するとbleak「荒涼とした」という語ができます。bleak「荒涼とした」とはもともとは「白い」という意味でした。全てを雪で覆 われたblank「白紙の」ような真っ白な、そして厳しい冬の天気を描写するのに使われ た語です。blanket 「毛布」は、その素材である羊の白い毛の色を しているのが一般的です。もともと「白い」色を表わしたblank「白い」から変化してblanket「毛布」となりました。blanket「毛布」はflame「炎」の外側の色の「白」から「羊の毛の色」、さらに「羊の毛でできた 白い毛布」へと発展していったのです。ところで真っ暗な中で突然flame「炎」で照らされると一瞬の明るさに目が眩み、何も見えなくなってしま います。この状態がblind「盲 目の」です。flame「炎」のfbに、mnに変えてできます。またblind「盲目の」まではいきませんが、だれでもflame「炎」を見せられるとblink「瞬きする」ことになってしまいます。キラキラと輝くflame「炎」で目が眩んでしまうからです。flame「炎」の赤々と燃える色からできたのが、flame「炎」のfbに変えてできるblush「恥じる」です。blush「恥じる」とはちょうど赤々と燃えているflame「炎」のように頬をポッと「赤らめる」ところから現在の意味を得るよう になりました。同じflame「炎」 の色から発展したのがflamingo「フ ラミンゴ」です。燃えるような赤い色からそのように名づけられました。flame「炎」のfbにふたたび変えるとblaze「燃える」ができます。このblaze「燃える」もflame「炎」と同じく名詞形も同形ですが、flame「炎」よりも大きくより強い光を放つ「炎」を意味します。blaze「炎」のキラキラ輝く一つの色がblond「黄金の」です。最後にblack「黒」です。black「黒」がどこから生まれたかはまだ専門家の間で議論されていますが一つ の説にflame「炎」があります。flame「炎」のあとの燃えカスの色がblack「黒」だという説です。flame「炎」のfbに変わっています。

gold「金」は一晩たてばglass「ガラス」に化学変化する

gold「金」はキラキラと輝き見ているだけで心もキラキラと輝く楽しいもので す。gold「金」は「キラキラ光るもの」というのがもともとの意味です。gold「金」はキラキラ光るからいろいろな語へと発展していきます。gold「金」は高価なものですから惜しみなく使うわけにはいけません。表面だ けgold「金」を塗るのをgild「金メッキする」といいます。gild「金メッキする」とはgold「金」を表面に塗るがもともとの意味です。gold「金」の輝きにはglare「ギラギラと光る」に代表されるケバケバしい光と、gleam「微光を放つ」の上品な光の方が多いようです。glare「ギラギラと光る」もgleam「微光を放つ」ももとはgold「金」のように輝くという意味でした。glitter「キラキラ光る」もglisten「キラキラ光る」もglimmer「キラキラ光る」もすべて、gleam「微光を放つ」の上品な輝きです。glimmer「キラキラ光る」光が目に入ってきて「見える」となったのが、glimpse「チラッと見える」です。glimpse「チラッと見える」とはgold「金」のようなglimmer「キラキラ光る」ものが目に入ってくるというのが原義です。glimpse「チラッと見える」と異なってgold「金」のキラキラを放つのがglance「チラッと見る」です。glare「ギラギラと光る」仲間にglow「赤々と燃える」があります。glow「赤々と燃える」とはgold「金」のように輝くというのがもとの意味です。glowには「白熱する」とか「暖かい感情」という意味もあります。gold「金」のように「キラキラ光る」ものにglass「ガラス」があります。glass「ガラス」は光の反射ぐあいによってgold「金」と同じようにも光り輝くこともあります。また現在はガラスは安価 なものですが、古代ではgold「金」 と同じくらい高価なものだったのです。glass「ガ ラス」やgold「金」のキラキラの光をgloss「光沢」といいます。gloss「光沢」とはキラキラ光るものというのが原義なのです。このgloss「光沢」をつけることがglaze「つや出しをする」です。glaze「つや出しをする」ではgloss「光沢」のszに変わっています。glad「楽しい」もgold「金」やglass「ガラス」と同じ祖先から生まれました。glad「楽しい」とは楽しくて顔や瞳がgold「金」やglass「ガラス」のようにキラキラと輝いているという意味です。コーラスクラ ブのglee clubgleeも「楽しみ」という意味ですが、glee「楽しみ」もglad「楽しい」と同じく「キラキラする」というのが原義なのです。gold「金」は日本語では「黄金」とも言います。英語でもgold「金」のgyに変えるとyellow「黄色」ができます。実はyellow「黄色」ももとはgold「金」と同じく「キラキラ光るもの」というのがもともとの意味だったの です。

fuse「ヒューズ」が飛んでfusion「融合」が生まれえた

核融合を表すときに使うfusion「融合」はなにかイカメシく難解な語のように感じられますがfuse「ヒューズ」のもとの意味である「溶ける」からきているといえば合点が いくのではないでしょうか。fusion「融 合」はfuse「溶ける」から「流れる」、「注ぐ」などといろいろな意味に発展してい きます。fusion「融合」のように「溶かす」が「ドロドロと流れる」という意味を持った 語にconfuse「困惑させる」があります。confuse「困惑させる」とはなにもかも「溶かして」con-「一緒に」してしまい、何が何だかわからなくさせるというのがもともと の意味でした。confuse「困惑させる」のsをtにして、さらにtdに変えても同じ意味のconfound「困惑させる」ができます。fusion「融合」やconfuse「困惑させる」はドロドロとしたものがゆっくりと流れるというイメージ がありますが、「どっと流れる」という意味をあらわす語もあります。fusion「融合」のfgにしてできるのがgush「ほとばしる」です。gush「ほとばしる」とは、水や血や言葉などがどっと流れ出てくることなので す。gut「内臓」ももともと細い管を多くのものがgush「ほとばしる」管という意味でした。現在のgut「内臓」という意味は「ほとばしる管」の「管」の意味だけが残ったもの なのです。また地上に地下水がどっとgush「ほと ばしる」のをgeyser「間欠泉」といいます。gut「内臓」のgfに戻すとfunnel「じょうご」ができます。funnel「じょうご」になるとgut「内臓」にあった「どっとほとばしる」というイメージは消え去り、「注 ぐ」というニュアンスが強くなってしまっています。しかしfunnel「じょうご」にはgut「内臓」の「管」の意味は残っています。transfuse「輸血する」とはtrans-「ある人から別の人へ」血を「注ぐ」という意味です。思想や信念などを 少しずつ人の中に「注ぐ」のがinfuse「吹 き込む」です。funnel「じょうご」で少しずつ「注ぎ」込むというのがもともとの意味です。 どっと流れるイメージから、バラまくに変わったのがdiffuse「放散する」です。周りに液体や気体を「注ぐ」がもともとの意味です。diffuse「放散する」の接頭辞dif-と同じ意味の別の接頭辞circum-「周りに」をfuse「溶かす」につけてもdiffuse「放散する」とよく似たcircumfuse「撒き散らす」という語ができます。また涙や顔色や微笑を自分の顔のsur-「上に」注ぐ、つまり「散らす」のがsuffuse「一面に覆われる」です。また貴重品を惜しみなくpro-「前に」注ぐのがprofuse「浪費の」という形容詞です。

superman「スーパーマン」はsoprano「ソプラノ」歌手だった

superman「スーパーマン」のsuperは口語で「極上の」とか「巨大な」という意味です。superとはもともと「より上」とか「超」という意味です。superman「スーパーマン」とはman「人間」をsuper「超えた」人というのが原義です。super「超」のpvに変え、sを音消失するとover「上の」ができます。これはもともとsuper「超」と同じ語だったのです。over「上の」と同じ語であったsuper「超」は形を変えていろいろな語に現われます。super「超」の-erを音位転換してできるのがsoprano「ソプラノ」です。soprano「ソプラノ」は女性歌手の中で一番super「上の」部門です。裁判所の中で一番上の裁判所もsupreme court「最高裁判所」といいます。supreme「最高の」ではsopranonmに変わっています。sirloin「サーロイン」もsir「最高の」loin「腰肉」というのがもとの意味です。super「超」を意味する語を比較級にしたのがsuperior「より優れた」という形容詞です。米国とカナダの国境にある五大湖の一 つも他の四つの湖よりはサイズがsuper「上 に」ありますからLake Superior「スペリオル湖」となずけられました。superior「より優れた」のpvに変え、「王」を意味するreignを付けるとsovereign「統治権を持つ」という形容詞ができます。sovereign「統治権を持つ」はsover「最高の」reign「王」というのがもともとの意味です。「最高の王」から「君主」そして 「統治権を持つ」から「独立の」という意味に変化していきました。政治の世界では数年前から先進諸国の元首が集まっていろいろな国際問題を解決するための 会議が開かれるようになりました。この会議をsummit「サミット」と呼びます。このsummit「サミット」も実はsuper「超」と同じく山の「頂上」という意味だったのです。summitsuperも兄弟同志なのです。summitの場合はsuperpmに変わっています。sumだけでも「一番上」から「数の合わせた一番上」から「合計」を意味する ようになりました。最後にsuper「超」 のuyに変えてsを音消失してhを音挿入するとhyper「超」とう接頭辞ができます。super「超」と同じ意味になります。hyper-はいろいろな語についていろいろな意味を表わします。hypertensiontension「緊張」が「超」な状態ですので「高血圧」を意味します。hypertension「高血圧」とは「超緊張」が産み出す病気のことです。

hell「地獄」はうつろなhole「穴」の中にある

今回はhell「地獄」とhall「ホール」の関係からスタートです。現世で罪を犯した人が死後に行くと 考えられているhell「地獄」は、自由を奪われた逃げ道のない世界です。この陰鬱なhell「地獄」と異なり舞踏会などが開催されるhall「ホール」は実はhell「地獄」と同じ仲間であったと理解するには少々説明が必要になるでしょ う。hell「地獄」もhall「ホール」ももともとは「囲む」という意味でした。hell「地獄」は回りを「囲まれた」逃げ道のない場所ですし、hall「ホール」は風雨を防ぐために四方を壁で「囲まれた」場所です。えんど う豆などの一粒一粒を「囲む」ものをhull「さ や」と言います。hole「洞 窟」も外から見れば空洞ですが、中に入ってみれば「囲まれた」場所なのでhole「洞窟」と呼びます。すべて「囲まれている」という意味なのです。hollow「窪んだ」も中に入るとやはり「囲まれた」場所です。hole「洞窟」のhcに変えてできるのがcolor「色」です。color「色」とは、絵を描くとき白いカンバスを「囲む」つまり「覆い」ますの で、現在の意味に発展してきました。もともとは「囲む」という意味だったのです。hall「ホール」が三次元での「囲まれた」ものならならcolor「色」は二次元の平面を「囲む」ものです。hell「地獄」のhcに変えると回りが鉄格子で「囲まれた」cell「独房」ができます。囚人が逃げないようにしてあるものです。cellar「地下室」も四方が「囲まれた」場所が原義です。cell「独房」やhell「地獄」のように陰鬱な語とは異なりもっと積極的に私たちの役に立って いるのが工事現場などで頭を「囲む」helmet「ヘ ルメット」です。cell「独 房」の別の意味である「細胞」と同じく囲んで中身を保護するものがhelmet「ヘルメット」なのです。最後に「囲まれた」から「秘密裏に」へと意味 が変化していった語がcell「独 房」のelを音位転換してできるclandestine「秘密裏の」です。clandestine「秘密裏の」は隠れて開催されるmeeting「会議」や人目を避けてするような行為などを描写するのに使われます。 その「秘密性」にclandestine「秘密裏の」から「非合法性」がどこからとなく漂ってきます。あまりに 人目を避けて行うことは正しいことであってもよいイメージを与えないようです。この否定的なニュアンスの強いclandestine「秘密裏の」はラテン語のclam「秘密に」からできました。「隠す」にintestine「腸」の後半のstineつまりからだの中に隠されたものというイメージが合わさって現在のclandestine「秘密裏の」ができたと考えられています。clandestine「秘密裏の」はつまり体の奥深くに隠れたintenstine「腸」をイメージされて形成された語なのです。

garden「庭」でchorus「コーラス」するのはwarden「刑務所長」

garden「庭」のお話です。garden「庭」と同じような意味の語に芝のあるyard「庭」や宮殿などの中庭のイメージの強いcourt「庭」があります。これらすべてを並べてみれば3つともどこか形が似ているのに気づかれるでしょう。実はgarden「庭」もyard「庭」もcourt「庭」もすべて「囲む」という意味を表す印欧語祖語から生まれたのでし た。kinder「子供」を囲んだ場所はkindergarten「幼稚園」となります。garth「庭」ももともとは「囲む」といういみでした。orchard「果樹園」も前半にcourt「庭」、後半にyard「庭」を持った、文字通りには「庭庭」というのがもともとの意味なので す。さしずめorchard「果樹園」は庭の中の庭という意味なのでしょうか。court「庭」やgarden「庭」を耕す術をhorticulture「園芸」といいます。horticulture「園芸」とはhort「庭」をcultivate「耕す」というのがもともとの意味です。horticulture「園芸」の前半部分のhortgardencourtと同じ「庭」という意味です。court「庭」、garden「庭」そしてyard「庭」の中でcourt「庭」のみが「囲まれた場所」から自分の所有地に高い塀をつくり、周り の家と区別して自分の優位を誇示するcourt「宮 廷」とう意味を別に獲得しました。court「宮 廷」に囲まれている兵士のことをcohort「軍 隊」と言います。cohort「軍 隊」の中の一人一人の兵士をcourtier「廷 臣」と呼びます。またcourt「宮 廷」からその場所に住むにふさわしい振る舞いを形容する語がcourteous「礼儀正しい」です。courteous「礼儀正しい」とはcourt「宮廷」での振る舞いのようなというのがもともとの意味です。最後にcourt「庭」やgarden「庭」と異なり、三次元の物体を囲むのがgirdle「帯」とかrgird「帯を締める」です。girth「帯」は馬の胴巻きを意味しますが一般には「胴回り」という意味で使わ れます。girdle「帯」もgirth「胴回り」もgarden「庭」の親戚なのです。さらにguard「護る」とは王様などの周りを「囲んで」警備するという意味でした。warden「刑務所長」とは囚人などが逃げないように周りを囲んだ建物の責任者と いう意味です。

自然への挑戦はway「道」とwaggon「荷馬車」から始まる

way「道」のお話です。他民族との交流や交易の中心を担ったway「道」はいろいろな意味に変わりながら、いろいろな語に現われます。 「道」から「道を使って運ぶ」から「空路」や「海路」、さらには人生の「路」などさまざまな語に発展していきます。まずway「道」にall「全て」をつけてできるのがalways「いつも」です。always「いつも」とは人生のどの道でも常にという意味です。way「道」に分離の接頭辞のa-を付けるとaway「離れて」ができます。way「道」のwvに変えても「道」ができます。voyage「航海」とは海のway「道」を進むことです。この道からde-「外れる」と普通ではないという意味になってしまいます。deviate「逸脱する」とは人が決めた道からde-「離れて」いくという意味です。voyage「航海」に途中を意味するen-「途中の」をつけるとenvoy「公使」ができます。envoy「公使」とは時刻から他の国に送られた使節のことですが、英語では道の 上にいる、つまり向かっている途中という意味で、まだ派遣されていない人を意味します。enovy「公使」とは赴任途中の人というのがもともとの意味だったのです。赴任途中のenvoy「公使」の弟にあたるのがさしずめinvoice「送り状」でしょうか。ただしinvoice「送り状」はenvoy「公使」とは異なって人間ではなくなってしまいますが。invoice「送り状」やenvoy「公使」とは違って道の真ん中にあるところから現在の意味を獲得したのがobvious「明らかな」です。道の真ん中に置かれているために、誰でも気がつくというところからobvious「明らかな」が現在の意味を獲得しました。一本道の真ん中にあるobvious「明らかな」と違って三本道の場合にはtrivial「平凡な」という形容詞になります。trivial「平凡な」とはもともとtri-「三つの」via「道」の交差するところで人の噂などをペチャクチャとおしゃべりをするところから、噂話、ささいな、平凡なと現在の意味に変わっていきました。trivial「平凡な」とは三本道の交差点で噂などのあまり重要でないものを描写す るのに使われる形容詞です。way「道」から「運ぶ」、「運ぶもの」と意味が変わっていった代表がvehicle「乗り物」です。実は印欧語祖語ではweghと言われていました。gyに変わりway「道」なりました。wvに変えればvehicle「乗り物」ができます。vehicle「乗り物」はもともと荷物の運搬に使われていました。vehiclevwにするとwaggon「荷馬車」ができますしwaggon「荷馬車」のwvさらにgcにすると大きさと方向によって「運ばれる」到達点を示すvector「ベクトル」ができます。「道」から「運ぶ」とか「運ぶもの」に変わっ たvecは人や荷物ばかりでなくment「心」までも遠くまで運んでいくことができます。vehement「熱烈な」とは正常なment「心」を運ばれて気がふれんばかりのものすごい状態という意味なのです。「運ぶ」は民衆をある場所に運び入れて「暴徒」化させることからでた語が ochlocracy 「愚民政治」です。aristocracy 「貴族政治」の反対です。ある場所に運び込まれて異常な集団になると群集心理が働き、意に反するようないろいろな攻撃的な行動が生まれます。そのようなことから「運び入れる」という意味から発達したのが inveigh 「激しく抗議する」です。その形容詞が invective 「侮辱的な」とか「罵倒の」という形容詞です。そのまま名詞になると「毒舌」とか「罵倒」になります。どうも carry という語は我々の正常な mind を運び去って vehement 「猛烈な」精神状態にしてしまうみたいです。

天変地異でevacuate「避難させ」られvacation「休暇」がだいなし

vacation「休暇」とwant「欲する」の関係にメスを入れてみましょう。vacation「休暇」のvwant「欲する」のwももとは同じ物ですから両方とももともとは同じ語から発展していきまし た。「カラッぽ」というのが二つの語の共通な意味なのです。vacation「休暇」とは仕事のスケジュールがなく身も心も「カラッぽ」にできるこ とから現在の「休暇」という意味になりました。want「欲する」も「カラッぽ」であるために中になにかを入れたいという気持 ちから現在の「欲する」という意味に発展したのです。wantingが「欠けている」という意味があることからwant「欲する」のもともとの意味が「カラッぽ」であるというのがお分かりに なるでしょう。vacuum「真空」とは中の空気が「カラッぽ」の状態のことですし、vacancy「空き」とはホテルなどの部屋がお客がいなくて「カラッぽ」の状態であ るということです。またどんなに努力しても結果が「カラッぽ」になってしまうところからできた語がvain「無駄な」です。vain「無駄な」とはどんなに努力をしてももとの「カラッぽ」の状態になって しまうという意味なのです。vanity「虚 栄心」とは「カラッぽ」で価値がないが、「愚かな」に変わり、さらに「空虚な」とか「虚栄心」という風に変化していきました。考えなどの中身の「カラッ ぽ」な人は実態がないにもかかわらずvaunt「大 風呂敷を広げる」傾向にあります。vaunt「大 風呂敷を広げる」とは考えや内容が「カラッぽ」であるにもかかわらず、vanity「虚栄心」から自分を大きく見せようとすることです。カラッぽを意味す るvanに動詞をつくる接尾辞を付けたのがvanish「消える」です。「カラッぽ」になってしまうことです。中にいたりあっ たりしたものがe-「外に」行ってしまいカラッポになるのがevanesce「消える」です。vanish「消える」と同じ意味です。「カラッぽ」のvacantvwに変えるとwane「欠ける」ができます。月が満月の状態から新月の状態に移行することを 意味します。wane「欠ける」とは月が「カラッぽ」になってvanish「消える」ことです。一方、カラッぽにするのがevacuate「避難させる」です。e-「外に」全てを追い出してカラッぽの状態にすることです。evacuate「避難させる」には建物や公共の施設から災難時に人々を誘導して建物を 「カラッぽにする」という意味なのです。カラッぽにde-「完全な」を意味する接頭辞と動詞を作る接頭辞をつけてできるのがdevastate「荒廃させる」です。建物などを完全に破壊してカラッぽの荒れ果てた土 地にするのがdevastate「荒廃させる」です。devastatevwに変えてできるwastedevastate「荒廃させる」と同じ意味になります。

for「ために」とfrom「から」が最後につながるわけ

今回は趣をかえて英語の前置詞for「ために」とfrom「から」のお話です。forは「ために」が第一義のような感じがしますがもともとは「先の方へ」と いう意味が中心の前置詞なのです。列車やバスなどでfor Osaka 「大阪行き」などとよくみかけますよね。for Osakaforは「ズーッと先の方の大阪へ」というのがもともとの意味だったのです。 このfor「ズーッと先の方へ」が「ズーッと」となり「完全な」に変わりそして 「ために」と変化していったのでした。「ズーッと先の方へ」は最終的な目的をあらわしますから「ために」に変わるのもそれほど抵抗なく理解していただける のではと思います。for「ズーッ と先へ」からうまれてくるのがfar「遠く離 れた」です。forが「ズーッと先へ」ですから、その先にあるのはfar「遠く離れて」いるのは理解できると思います。far「遠く離れた」とよく似ているのがforth「前方へ」です。forththtoを意味しているのでしょうか。for 「ズーッと先へ」に最上級のmost-を付ければforemost「最もズーッと先に」から変わって「第一の」という語ができます。first「第一の」もforemost「第一の」と同じくfor「先の」の最上級にゲルマン系の最上級を意味する接尾辞の-st「最も」がついたものです。foremost「第一の」と同じ意味になります。first「第一の」のfpに変えてirを音位転換するとprotein「蛋白質」ができます。protein「蛋白質」とはfirst「第一の」栄養素というのが原義でした。for「先へ」に比較級を作る接尾辞-erをつけるとformer「以前の」ができます。former「以前の」は空間的な位置関係ではなく時間的な前後関係を表わす語で す。former「以前の」とは時間的に「過去により先に」という意味です。またfor「先へ」に強意の接頭辞be-をつけてできるbefore「前に」は時間的にfor「先へ」のことですがformer「以前の」とは見る視点の方向が異なっています。for「先へ」を音位転換してできるfrom「から」もforの「ズーッと先へ」を見る視点を変えて「ズーッと先から」になり、最後 の「から」のみが保持され現在の意味に発展してきました。from「から」ももともとはfor「ズーッと先へ」を逆にみた語なのです。from「から」のfpmnに変えてできる語がprone「傾向のある」です。pro-「先に傾いている」から「傾向がある」というように意味的に発展してい きました。prone「傾向のある」とは「先の方へ行っている」というのが原義なのです。for「ズーッと先へ」は積極的にいろいろなものを前に差し出すところから 「提供する」という意味を獲得しました。for「先へ」 に動詞を作る接尾辞-ishを付け てできるのがfurnish「提供する」です。furnish「提供する」とはいろいろなものを「前に差し出す」というのが原義で す。furnish「提供する」のfpに変え接頭辞reci-「もとに」をつけるとreciprocal「相互の」という形容詞ができます。reciprocal「相互の」とはものをpro-「前に」差し出したりreci「もとに」受け取ったりするギブ・アンド・テイクのことです。reciprocal「相互の」はfororが音位転換しています。一人だけ集団からはずれてfor「前方に」立っているのがforfpに変えorを音位転換して形容詞を作る接尾辞-ateのついたprivate「個人の」です。private「「個人の」とは集団の前にいて集団から分離されて「自分だけの」とか 「個人の」という意味に発展していきました。さらに他人のものまでもprivate「個人の」ためのもににしてしまうのがprivate「個人の」に接頭辞のap-がついてできるappropriate「盗む」です。またappropriate「盗ん」だものから個人の所有物を意味するようになったのがproperty「財産」です。property「財産」とはprivate「個人の」ためのものになったものというのが原義です。for「ズーッと先へ」に最上級を表わす接尾辞-mostを付けたforemost「第一の」の兄弟にforemost「第一の」のfpを変えてorの部分を音位転換してできるprimarity「第一の」があります。primary「第一の」はforemost「第一の」というゲルマン系の単語のラテン語版です。primary「第一の」動物をprimate「霊長類」といいます。primary「第一の」王の子どもがprince「王子」となります。prince「王子」とは王位を第一に取る権利のある子どもというのが原義です。primary「第一の」のmnに変わっています。最後にfor「先へ」はギリシャ語を経由すると「回り」とか「周辺」という意味にも なります。中学校で習うπもローマ字で綴るとpiとなりperimeter「周囲」のもとの語となります。perimeter「周囲」とはper「周囲」にmeter「メーター」を付けてできました。perimeter「周囲」とはfor「先へ」の遠い親戚なのです。paradise「天国」は外敵や悪天候から身を守るべくpar「周囲」を壁でdise「囲ってあるもの」というのがもともとの意味でした

cave 「洞穴」が空に舞い上がりcumulus 「積乱雲」になるわけ

cave 「洞穴」とはもともとは「腫れ上がったもの」というのが原義です。この 腫れ上がったものは大抵が中が空洞になっているものが多いので「天井の高いもの」とか「穴」という意味をも表すようになりました。cave の巨大なものをcavern「洞窟」といいます。cave「洞穴」の大きいものです。cavern は医学用語では体内組織にできる「空洞」を意味します。動物学でいう coelom 「体空」も実は cave 「洞穴」と同じ語源なのです。生 物学のtaxonomy 「分類学」で最初に習うcoelenterate「腔腸動物」も coelen-の部分が「空」という意味を表しています。coelenterate 「腔腸動物」とは体の中が空洞でぷっくりと膨らんだ動物のことで、代表 的なのがjellyfish「クラゲ」とかhydrozoan「ヒドロ」やcoral「珊瑚」のことです。なんとなく体がぷっくりと膨らんではいるが、中身 がなく空洞になっているようの動物ですよね。cage「籠」もまた cave「洞穴」と同じで中身が空洞になっているものです。その中に鳥などを入 れて置きます。鳥とかペットではなく、人間を入れておくものをjail「刑務所」とか「留置所」といいます。このjail はイギリスではgaolとつづられますがこれもcave「洞穴」と同じ語源なのです。cage「籠」とjail「刑務所」の両方から作られた語がjay「カケス」です。カーカーとよくしゃべる鳥です。jay「カケス」はどうも自然の中の鳥のイメージではなく、籠の中の鳥のイ メージだったみたいです。cage 「籠」 の中のjay「カケス」からcajole「甘言でそそのかす」という語が作られました。cage「籠」の中のjay「カケス」がおいでよおいでよと他の自由に飛びまわっている鳥を誘惑し て捕まえるという意味なのでしょうか、真実はわかりません。とにかくcajole で「説得する」とか「言い負かす」というような意味になりました。cave c g j に変化してしまって全く同じ物とは認識できなくなっていますが、ぷくっ と腫れたものというのが原義なのです。なぜcave 「洞 穴」の v のスペルが coelenterate 「腔腸動物」とかjail の場合に l になるかはわかりません。またcave「洞穴」を掘ることを excavate 「掘る」と呼びます。私たちの身体、特に口腔の中に生じる洞穴のことをcavity 「虫歯」と呼びます。正確にはdental caries 「カリエス」というのでしょ うか。cavity「虫歯」とは口腔内のcave「洞穴」と同じことなのです。カモ猟などで使われたと言われる decoy 「おとり」も実際のカモのように作り上げた木のにせものの中をくりぬい て cave 「洞穴」と同じく空っぽの状態に なっているのでdecoy 「おとり」という意味になりました。decoy 「おとり」は最近では実際にカモを捕まえるときに使われるというより、 部屋の中のデコレーションの一つになってしまっています。物理学でもcave 「洞穴」と同じ語源を使った語がたくさんあります。convex 「凸上の」の反対の意味を表す単語が concave 「凹状の」という語があります。これは上の方に膨れ上がっているのでは なく、下の方に膨れ上がって窪んでしまった状態です。concave 「凹状の」前についている接頭辞の con-は「とても」という強調を意味します。concave 「凹状の」とは「非常に空洞の」というのが原義なのです。最後に空洞と いう意味ではなく、「腫れた」という意味を表す語を使った語を見てみましょう。accumulate 「蓄積する」とはもともとcave「洞穴」と同じく”cumul”「腫れ上がった」という意味から発展していきました。cave「洞穴」とは異なって「腫れている」という意味だけが残った単語です。cumulus 「積雲」は夏の入道雲を意味するaltocumulus 「高積雲」ももともとcave「洞穴」と同じ語根から形成されています。

slug「ナメクジ」がmoist「湿気」を好むわけ

最近はナメクジなどあまり見かけなくなってしまいまし たが、ちょっと庭いじりをする人ならまだまだsnail「カタツムリ」のshell「殻」がなくなったような slug「ナメクジ」を見かけるかもしれませ ん。slug 「ナメクジ」は slimy 「ヌルヌルした」と同根です。slimyy g になっているのが slug 「ナメクジ」なのです。slip 「すべる」というのも slug 「ナミクジ」と同じ単語から派生した語です。slip「すべる」では slimy「ヌルヌルした」の m p に変わっています。slug 「ナメクジ」とか slimy「ヌルヌルした」の後半部分を中心とする語が mucus 「粘液」です。slug slimy に共通の l がなくなってしまっていましたが mucus 「粘液」も slug slimy と同じ語根からできた語です。mucus 「粘液」とは「ヌルヌルとして捉えどころのな い」とか「水分があってヌルヌルする」という意味です。mucus 「粘液」とは水分を含んでいるという意味がありますから、しっとりとし た moist 「湿気のある」も同じ語根から 派生しているということを理解することはそれほど大変ではないでしょう。moist 「湿気のある」とは slug 「ナメクジ」などslimy 「ヌルヌルした」動物がもっとも好む自然環境 なのです。moist「湿気がある」のがあまりにもひどくて度を越すと muggy 「蒸し暑い」という語に変わります。muggy 「蒸し暑い」とは空気中の水分が多くて肌が「ヌルヌルする」という意味 です。moist 「湿気が多くて」muggy「蒸し暑い」環境によく生育するのがmold「カビ」です。mold「カビ」とは slug「ナメクジ」のようにmoist「湿気がある」場所に生育する slimy「ヌルヌルとした」生物のことです。streptomycin 「ストレプトマイシン」は結核に対する抗生物質ですが strepto-「渦巻き上の」という語と mycin「カビ」つまり「菌」という語が合わさってできた語です。mycinmold「カビ」や moist 「湿気のある」と同根で「菌」という意味です。「菌」を意味するmycology 「菌類学」の前半部分のmyco-streptomycin「ストレプトマイシン」の後半部分と同じく、もともとは「ヌルヌルとし た」とか「湿気がある」という意味で slug 「ナ メクジ」の親戚だったのです。このような「ヌルヌルした」粘液をだす器官を emunctory 「排出器」と呼びます。slug 「ナメクジ」のようなslimy「ヌルヌルとした」液であるmucus「粘液」をe-「外に」出す器官であるからemunctory「排出器」と呼ばれるようになりました。ちなみに人間のemunctory skin 「皮膚」とかkidney「腎臓」とかlung「肺」のことです。このような器官からmucus 「粘液」が出されます。emunctory「排出器」と slug「ナメクジ」は「ヌルヌルとした」と いう点で意味的につながっているのです。最後にmeek 「やさしい」とか「おとなしい」という意味を表す語とslug「ナメクジ」との関係をみてみましょう。meek 「やさしい」もmoist 「湿気のある」やslug「ナメクジ」と同じ語根で「ヌルヌルとして柔らかい」という意味から発 展していきました。「柔らかい」が「やさしい」とか「弱々しい」という意味に発展していって現在の意味に定着したのです。meek 「やさしい」とは「グネグネとどのような形にもなる」というところから 「屈従的な」とか「おとなしい」という意味になりました。グネクネと簡単に曲がるslug「ナメクジ」と共通しているのです。

sly「狡猾な」人はsledgehammer「大ハンマー」を使う

insidious 「狡猾な」とか cunning「狡猾な」と同じ意味のsly「狡猾な」はもともとは野球のslugger「スラッガー」やボクシングのslugger「強打者」と同じく「殴る」という意味でした。sly「狡猾な」とは相手が気づかないうちに頭を殴って自分の思うようにする という意味です。しかもこの殴り方は単に人の頭を小突くというよりも、相手をこの世から消してしまうほど強打するという意味合を持っています。sly「狡猾な」とは相手を殴り殺して自分のものにするという意味合いを持っ ています。ちょっと小突く程度ではないのです。実際に「ゴツンと強打する道具」を sledgehammer 「大ハンマー」といいます。sledgehammer「大ハンマー」とはblacksmith「かじ屋さん」が両手を使って熱い鉄をたたく巨大な「ハンマー」のこと を言います。sledgehammer 「大ハンマー」ではsly「狡猾な」のyg に変わっています。sledgehammer「大ハンマー」で人の頭を殴ったりすると人は簡単にあの世へ行ってしま います。sledgehammer「大ハンマー」はtake a sledgehammer to crack a walnut「鶏を割くに牛刀をもってする」という慣用句があります。かなり大袈裟 なハンマーみたいです。sledgehammer「大ハンマー」はかじ屋さんが熱くなった鉄をたたくのに使われます。こ の時にできるクズを slag 「鉱 さい」と呼びます。鉄をたたいて出てくるクズですので、slag 「鉱さい」とか「スラグ」といいます。日本語になっているのです。slay「殺害する」もsly「狡猾な」と同じ語根で「殴る」という意味でした。「殴る」から「殴り 殺す」へと発展して現在の意味になりました。しかしslay はイギリスでは「殺害する」という意味で使うのはかなり限定されている みたいです。アメリカではslay 「殺 害する」はよく新聞などで使われます。殴り殺すのはやはり動物の屠殺を思い出させます。slay 「殺害する」と同じ語根からできた語がslaughter「屠殺する」です。人間に使う場合は比喩的に「虐殺する」という意味に なります。slaughter「虐殺する」人を slaughterer「殺戮者」といいま す。動物を肉用に殺す場合は「屠殺者」という意味です。殴るとはかなりsanguinary「血なまぐさい」語です。slaughter「殺害する」からできた語がonslaught 「猛攻撃」です。あっちこっちと敵を「殴りつ ける」ことなのでしょうか。このように殴りつけることがsly「狡猾な」という意味に発展していって、それがsleight 「狡猾さ」につながるみたいです。 sleight 「狡猾さ」とは一般にmagician 「マジシャン」の早い手業を表します。sleight of hand で「手先の早業」とか「手品」という意味でよく使われます。

岩の固まりからrob「奪う」ったものがbankrupt「破産する」?

岩場に生息する植物などを修飾する語にrupicolous「岩場に生息する」という語があります。rupicolousの最初のrupiの部分が「岩」という意味です。rupicolous とは「岩」とcolony「コロニー」とが合わさってできた語です。「岩」を表す部分のrupiはもともとrip off 「奪う」とか「裂く」という意味から派生してできました。英語の岩とは 大きな固まりから「裂かれて」できたものという意味です。岩を意味するrup の原義は「引き裂く」という意味でrip「奪う」やstrip「剥ぐ」という語と同じ語源です。家族の一員を「奪う」ことを bereave「から人の命を奪う」といいます。deprive「剥奪する」と同じく、主語にaccident 「事故」などの原因となる語が置かれ、目的語 には「奪われる人」がきて、奪われる対象が前置詞のof を伴って表されます。受動態はbereaved -edを使う場合もありますが、一般には受動形容詞のberefet を使います。bereave「剥奪する」とほぼ同じ意味で使われるのが接頭辞のbe-が消えたreave「略奪する」です。reave「略奪する」のvpに変えてできる語が最初に出てきたrip「奪う」です。rob「略奪する」もbereave「剥奪する」と同じく、奪われる人を目的語にとり、奪われる対象物を前 置詞のof以下で表します。rob 「略奪する」ではreave 「略奪する」のv bに変わっています。イギリスの自動車会社のRover「ローバー」ももともとは略奪するという意味が語源だったのでしょう か。多分、小文字のroverには 「海賊」とか「海賊船」という意味がありますから、Roverも「海賊」という意味から人名に変化したのかもしれません。「略奪す る」とuse「使う」とをつなぎあわせてできた語がusurp「強奪する」とか「侵害する」です。rip「奪う」の母音が消えてしまっています。最後にrip「引き裂く」から引き裂かれた「岩」に変わり、その「岩」の特徴である 「壊れやすい」という意味合いから「壊れる」に変わった語がbreakという意味のrupという語根です。ruptureは「剥離」を意味します。一般にhernia 「ヘルニア」の意味で使われます。abruptoff を意味する接頭辞ab-breakという意味のruptをつなげてできた語で「突然の」という意味です。銀行が「壊れる」のをbankrupt「倒産する」で全く「壊れる」のがcorrupt 「腐敗した」という意味です。e-「外に」とrupt=break「壊れる」とerupt「噴火する」ができます。ある点から別の点へとつながる線を「壊す」の がdisrupt「中断する」とか「分裂させる」という語です。rip「奪う」とdisrupt「分断する」とはずいぶん意味が変かしていますが、両方とも「引き裂 く」という意味から発展したものでした。

fraction「分数」は石をbreak「壊す」こと?

break「壊す」は物理的な力を加えてもとの形を崩してしまうことから、比喩的 に約束などを「破る」ことまでいろいろな意味に使われます。法律などをbreak 「破る」ことをbreach「不履行する」といいます。法律や約束を破ることです。breach「破る」の場合はkchに変化しています。またbreakbfに変えてできる語がinfringe「破る」とか「侵害する」という語です。接頭辞のinは使役の接頭辞です。break「壊す」のb fに変えてkcに変えてできる語がfracture「骨折」です。「割れ目」とか「亀裂」という意味もあります。fractious「怒りっぽい」という語は-ous「とても」frac「人の心を壊す」というところから現在の意味に変化しました。fractious「怒りっぽい」の後半に-ablecorrupt「転化した」-ileという接尾辞をつけるとfragile「壊れやすい」という形容詞ができます。小包や荷物などの表面によく書 かれています。fragile「壊れやすい」というのは日本語でいう「ワレモノ注意」ということで す。物理的に壊れるのではなく病気などに「壊れる」のをfrail「虚弱な」とか「もろい」という形容詞です。fragilegが欠落しています。frail「もろい」は倫理的に弱いような場合にも使われ、「誘惑に負けやすい」 という意味で使用されます。壊れるとか壊れたというのはどうも、「正しい」という意味の対概念を表すみたいです。数学でfractionというと「壊れた」数を表す「分数」とか「少数」を意味します。fractionとはまともな形をしている数字ではなく、「壊れた数字」というのが原義 です。数字ではなく、光が「壊れる」のをrefract「屈 折する」といいます。光がまっすぐ進むのではなくbreak「壊れて」進むことです。broken piece 「破片」のことをfragmentといいます。fragmentbreakの受動形から派生した語で「壊れたもの」というのが原義です。ローマ時 代は貝殻や石のfragmentを投票として選挙に使っていましたからfragment「破片」の一部を使った語で政治や選挙を表す用語がいくつかあります。suffrageは「投票」とか「参政権」という意味に変わりました。ostracizeとは「投片追放する」とかsuffrage「参政権」のように石とか破片を意味する語は政治と深く結びついている みたいです。

gasp「あえぐ」とchasm「割れ目」ができる

gape「口を開ける」とは大きな口を開けてなにかに見とれる場合に使います。 唖然として口がぽっかりと開いた状態を言います。また酸素が足らなく何度も口をぽっかり開けることをgasp 「あえぐ」といいます。空気が足らないためになるべく大きな口を開けて 酸素を取り入れようとすることです。単に驚きのために口を開けるだけでなく、酸素を体の中に入れる行為のyawn 「あくびをする」も同じ語根から出てきました。yawn の場合はgape g yに変わりpの部分がnに変わっています。gape は「裂け目」とか「割れ目」を意味する gap と同じ語根から発達しました。gap 「裂け目」とはぽっかりと口が開いている状態 を表します。gapgchに変えて、pmにしてできるのがchasm「割れ目」です。地面や岩にできて割れ目を描写するのに使われます。chasmはまた比ゆ的に感情などの「隔たり」をあらわす場合にも使われます。chasm「深い割れ目」を使ってできる単語がchasmogamy 「開放花形形成」です。cleistogamy「閉鎖ハナ受精」の反対です。chasmogamy「開放花形形成」とは花が開いてメシベとオシベをさらけ出す状態で開く 植物のことをさします。一方、cleistogamyはメシベやオシベを閉じた状態で開花する植物をさします。花とは違って 果実がぽっかりと開くからできた語がachene 「痩 果」です。achene「痩果」とは果皮が堅くて成熟しても裂開しない果実のことを言います。achenea は否定の接頭辞で「ない」という意味です。最 後に地理的な口を開けている場所がgill「峡 谷」です。gillには「えら」という意味もありますが、gill「エラ」が口を開けているのと同じ語源であるかどうかはわかりません。 多分、同じ語根から発生した可能性は高いのですが。

scandal「醜聞」はscanner「スキャナー」で記録

コンピュータに映像を取り込むときに使う機械をscanner「スキャナー」といいます。動詞はscanで「走査する」というのが日本語訳です。最近ではカタカナで「スキャン する」といっています。このscan「走査 する」のもともとの意味は「登る」という意味です。高く上に登ってざっと下を見下ろすという意味です。植物などで上に登っていく植物をscandent「はん縁性の」という形容詞です。scandentとはivy「ツタ」のようによじ登っていく植物を描写するのに使われます。植物で はなくて動物でもscansorial「よじのぼる」とか「よじのぼる習性をもった」という形容詞がありま す。また人などを「登らせる」道具がescalator「エスカレーター」です。scan「走査する」のnlに変わっています。scale「目盛り」とか「階級」を意味するscaleは昔は「はしご」という意味でも使われていました。現在ではscaleで「目盛り」というのが一般的です。飛行機や鳥などの階段状の編隊のこ とをechelon「梯形編隊」と呼びます。飛行機や鳥のような飛行するものだけでなく艦 船のような船にも使われます。階段を登っていくような形をしているからです。物理的に「登る」ことはascend「登る」といいます。物理的に「登る」ことだけでなくいろいろな比喩的 な「登り」にも使われます。pedigreee「家系図」は階段みたいに見えますから、この階段を「登りついた」とこ ろにいる人をanscestor「先祖」と呼びます。一方、pedigree「家系図」を降りてくる人をdescendant「子孫」と呼びます。登るは現代に近いような気がしますが、あくまでもpedigree「家系図」を中心に考えられていますから間違わないようにしてくださ い。威張った人が目下の人のレベルまでわざわざ自分を下げていっしょのレベルに合わせることをcondescend「腰を下げる」とか「身を落とす」といいます。あまり良い意味では使わ れません。また日常の範囲をtrans「超 えて」のぼることをtranscend「超越する」といいます。transcend「超越する」ものは人の考えや経験や理解力を意味します。文学で使われ るtranscendental「超越的な」とは通常の経験の範囲を超えたとか、超自然的なという意味 を表すのに使われます。最後に「登る」から「固まり」と意味が発展してそれが「障害」に変わったscandal「醜聞」を考えてみましょう。scandalとは階段を転げ落ちるようなものというのが原義です。scandal「醜聞」もscan「走査する」と同根だったのです。

head「頭」が大きいとprecipitate「おお慌て」のしるし

人間の体の中心的なものは何かと問われると、大多数の 人が脳の詰まっているhead「頭」 と言うのではないでしょうか。身体の一番上に位置していて、その下の部分を支配しているようにみえます。head「頭」は英語の古語に当たる古英語ではheafdheaddの前にfが入っていました。これが音消失してしまったのです。headhc、音消失したfpに変えてできるのがcap「帽子」です。cap「帽子」とはhead 「頭」にかぶらせるものです。日本語でもグループの中の最も重要で、グ ループを指揮する人を「かしら」と呼ぶように英語でもグループの中心人物をcaptain「キャプテン」と呼びます。captain「キャプテン」も日本語の「かしら」と同じくhead「頭」を意味する語だったのです。都市を人間の身体にたとえて言うと 「頭」の部分に当たるのがcapital「首 都」です。capital「首都」とは、その国で人間のhead「頭」のような機能を持った都市のことです。日本語の漢字では「首都」 と頭の代わりに「首」となっています。capital「首 都」はそれ意外に会社設立の資金である「資本」とか「資本金」という意味もあります。ビジネスはすべてこのcapital「資本」からスタートしますので、人間の身体の頭のように会社運営の重 要なcapital「資本」がもともとは頭をいみしていたのも納得いくと思います。会社の 運営の基礎となるcapital「資 本」が会社と異なり個人の家計になると、capitalpが音消失してlが音位転換してcattle「牛」となります。古代の社会においてはcattle「牛」が現代のcapital「資本金」のような重要な財産で家計の中心的な資産だったのです。cape「岬」は陸地の最先端に位置してまるで人間の一番先端についているhead「頭」のように考えられました。cape「岬」とは陸地の頭というのがもともとの意味でした。頭という部分は他 にも形や意味を変えていろいろな物や概念を表わすのに使われます。head「頭」の古英語のスペルのheafdhchに変えてできるのがchief「長官」です。captain「キャプテン」と同じくchief「長官」も、もともと頭を意味していました。料理人の頭もchef「シェフ」となりますし、部族の頭もchieftain「酋長」となります。chieftain「酋長」のfpに戻して「小さい」を意味する接尾辞の-terをつけるとchapter「章」ができます。chapter「章」とは本の小さい頭、つまり本の内容の中心となる頭のような部分と いう意味です。このchapter「章」 のchcに変え、接頭辞のre-「再び」をつけるとrecapitulate「要約する」ができます。本全体の内容を把握するには、まず本の構成部 分であるchapter「章」に分け、各章をまとめたものをre-「再び」寄せ集めます。これがrecapitulate「要約する」ことです。recapitulate「要約する」とよく似た単語がcapitulate「降伏する」です。まったく意味が異なってしまっていますが、実は両方 とも同じ語源からできています。capitulate「降伏する」とはitem「条項」つまりchapter「章」ごとにいろいろと条件つけられて、それらの条項にしたがって降伏 するという意味です。単にsurrender「降伏する」のではなく、capitulateとは「条件降伏する」ことなのです。また頭をde-「切り離す」という接頭辞をつけるとdecapitate「打ち首にする」ができます。頭のついている首を切り落とすことです。 頭は人間の身体の一番上にあるものだけでなく、腕力を自慢する時に作る「力こぶ」も頭を使います。力こぶはまるで身体の上にあるhead「頭」のように見えるから biceps「上腕二頭筋」といいます。つぎに頭についている角から山羊を意味する ようになった語がCapricorn「山羊座」です。Capricorn[山羊座]のcapの部分が頭という意味でcornhorn「つの」という意味です。caprineは「山羊のような」という形容詞です。mountain goat「山羊」は非常に臆病で人を見かけると岩場をピョンピョンと移動して逃 げます。一箇所にずっととどまるようなことはしませんから、capricious は「気まぐれな」とか「突然に飛び移る」という意味を得るようになりま した。山羊とは異なり人間が頭から突っ込むのをprecipitate「大慌ての」とか「早計な」という形容詞ができます。precipitate「大慌ての」とはcipit「頭」をpre-「前に」向けて飛び込むという意味がもとです。precipitate「大慌ての」は動詞では頭から突っ込むところから「促進させる」とか 「まっさかさまに落とす」という意味に変わります。precipitate「まっさかさまに落とす」されたものをprecipitation「降雨量」といいます。precipitate「まっさかさまに落とす」の形容詞はprecipitousで物理的な意味の「険しい」という意味になります。steep「急な」と同じ意味です。

hand「手」にメモを書かないとforget「忘れる」こと頻繁

hand「手」とget「とる」の関係からスタートです。hand「手」もget「とる」もghendという印欧語祖語からできました。ghendhが音消失してget「とる」、gが音消失してhand「手」になりました。get「とる」とはhand「手」でつかみとることなのです。hand「手」をpre-「前に」だして、強調の接頭辞com-をつけるとcomprehend「理解する」ができます。comprehend「理解する」とは概念などを手を前に出してとるというのが原義なので す。comprehend「理解する」に-ive「傾向がある」という意味の接尾辞をつけるとcomprehensive「包括的な」という形容詞ができます。comprehensive「包括的な」という形容詞はcom-「完全に」hand「手」をpre-「前に」だしてとるというところから現在の意味を獲得しました。prisoner「囚人」とは「とられた人」という意味です。comprehend「理解する」の「手を前にだす」が変わってしまっています。prisoner「囚人」と同じくprize「賞」も「とる」の中心的な役割をなすhand「手」からできた単語です。prize「賞」とはhand「手」でもぎ取ったものという意味だったのです。弱肉強食の動物の世界 で取られる動物をprey「餌 食」と呼びます。一方、prey「餌 食」をとるほうをpredator「捕 食動物」といいます。get「とる」 に強意の接頭辞のbe-をつける とbeget「父親になる」ができます。get「とる」ものをfor-「前に投げ捨てる」とforget「忘れる」ができます。forget「忘れる」もget「とる」ものを前に捨ててしまうというのがもとの意味でした。s抽象的な概念をget「とる」ことを努めるのがguess「推測する」です。apprentice「年季奉公人」とは契約で一生、その人の自由をすべて取られてしまった 人を指します。entrepreneur「企業家」とは今まで誰も考えていなかった考えでビジネスの先を取る人 のことです。そのようなentrepreneur「企業家」がなす事業をenterprise「事業」と呼びます。一方、取られたものを取り返そうと再びとることがreprisal「報復」です。報復しやすく、すぐにとられてしまうことを描写するのに 使われる形容詞がpregnable「占領しやすい」です。

arm「腕」の力が強ければarithmetic「算数」にも強い

今回はarm「腕」のお話からスタートです。arm「腕」はもともと「ぴったりとついている」という意味でした。arm「腕」とは上に上げても、横に振ってみてもブラブラ揺すぶってみても ぴったりと胴体にくっついています。このぴったりとくっついているところから「整然さ」とか「秩序」や「正しさ」という意味を獲得するようになります。arm「上」に戦いの時にぴったりとくっつけるものがarms「武器」です。hatchet「手斧」のようなものだったのでしょう。arms「武器」の集まりがarmy「軍隊」で、arms「武器」を積んでいる船の集まりをarmada「艦隊」と呼びます。arms「武器」をdis-「はずす」のがdisarm「武装解除する」です。arm「腕」のarms「武器」を自分の体から捨ててしまうことを意味します。alarm「警報する」とはラテン語のad illa armaつまりto those arms 「武器を取れ」が短縮されてできた語です。alarm「警報する」とはhatchet「手斧」を取れという意味だったのです。arm「腕」の原義「ぴったりとついている」の「ついている」の方から発達し たのがarticle「冠詞」です。article「冠詞」とは召しにぴったりとくっついている-cle「小さなもの」というのがもともとの意味でした。article「冠詞」のtthに変えて、「炎症」を意味する-it is「炎症」という接尾辞をつけるとarthritis「関節炎」ができます。arthritis「関節炎」とは「ぴったりとついている箇所の炎症」というのがもともと の意味なのです。一方、「ぴったり」という意味から発展していった語がart「芸術」です。art「芸術」はもともと「技術」という意味で主に使われていました。しかし 社会が豊かになるにつれてすばらしい「技術作品」が観賞される対象になり「芸術」とか「美術」という意味に変わっていったのです。art「技術」とは箪笥や机などぴったりと材料を寄せ合わせるという意味がも ともとの意味だったのです。そのようにぴったりとつける人をartisan「職人」と呼びます。artist「芸術家」の前身です。artisan「職人」とはart「技術」を持った人ということです。ぴったりとつく中で一番フィットし ているのをharmony「ハーモニー」といいます。harmony「ハーモニー」はぴったりつく中の最高のものという意味です。ぴったり つくから社会の中で「最高の」という意味に変化した語がaristocracy「貴族制」です。aristocracy「貴族制」は「ぴったりとついた」つまり「最高の」人たちの-cracy「統治」という意味で、社会の権力を握る「一番適した」「最高」の人々 による統治というのが原義です。art「技術」 から技術をするのは働くことなので、それから「働く」に発展した語がinert「不活発な」です。inert「不活発な」とはart「技術」をin-「持たず」ブラブラと怠るところから現在の「不活発な」という意味に変 わっていきました。inert「不 活発な」に状態や性質をあらわす接尾辞の-iaをつけて できる語がinertia「慣性」とか「惰性」です。the rule of inertia で「慣性 の法則」となります。ぴったりとついたは「織り機」の整然と並べられた糸を意味し、そこから「秩序」とか「順序」という意味を得るようになった語がorder「秩序」です。order「秩序」もまたarm「腕」と同じくぴったりとついたという意味を持っていたのでした。ordinary「普通の」とはぴったりと並べられて秩序正しく例外がないという意味で す。ordinance「法令」もorder「秩序」だった状態を導くために施行されたものです。社会がorder「秩序」がなかったころをprimordial「原始の」という形容詞で表すことができます。primordial「原始の」とはorder「秩序」のprim「最初の」段階というのが原義です。社会がぴったりとついていることで はなく、私たちの身体にぴったりとつけることをornate「飾った」という形容詞で表します。装飾品をぴったりつつけることをadorn「飾る」といいます。adorn「飾る」ものをornament「装飾品」と呼びます。rate「比率」とか「割合」はarm「腕」のarの部分が音位転換してできた語です。「ぴったりついたもの」が「固ま り」という意味に変化してラテン語の表現 rata parte「固定されたものにつき」から、後半のparte「につき」が消失して現在の意味になりました。rate「割合」もarm「腕」と同じく「ぴったりついている」というのが原義なのです。rate「割合」の姉妹がratio「比率」です。rate「比率」は「バラバラのものを整然と並べる」から「数える」さらに、計 算するとか考えると意味を変えて現在の意味に定着しました。もともとはrateは「計算する」とか「考える」という意味を持っていたのでした。ratio「比率」のもとの意味の「計算する」から発展した語がarithmetic「算術」です。ration「比率」のもとの意味の「考える」からはreason「推論する」とか「理性」という意味の語が発展しました。すこしreason「理性」を持って「推論し」なくてはいけないのがriddle「なぞ」です。

wrist「手首」を回せばwrinkle「しわ」が多くなる

今回は腕の先についているwrist「手首」のお話です。wrist「手首」のもとの意味は「回る」という意味です。wrist「手首」とはその先についている手をグルグルと「回転できる」ものとい う意味でした。wrist「手首」の先についている手とは異なって身体全体を「グルグルと回す」 のがwrestle「格闘する」です。wrestle「格闘する」は「レスリングをする」という意味です。wrestle「格闘する」は自分と敵である相手と一緒になってグルグルと回転するこ とですが、自分ひとりでグルグルと回転するのをwriggle「体をくねらせる」といいます。体全体ではなくて顔だけでグルグルと回 転させるのをwry「しかめた」という形容詞で表します。wry「しかめた」状態を何年も続けているとwrinkle「しわ」ができてしまうので注意が必要です。wrest「もぎ取る」もぐっとつかんでグルグルと回転させて取り上げるところか らwrest「もぎ取る」という意味を得るようになりました。なかなかもぎ取れない ときにはwring「ねじる」こともよくします。しかし堅く握られたものはwrest「もぎ取る」だけでは不十分で道具が必要となってきます。このときに使 う道具がwrench「スパナ」です。wrench「スパナ」とはグルグルと回転させてもぎ取る道具なのです。まるで自分 のwrist「手首」のように扱う道具のことを言い表します。wriggle「体をくねらせる」のwvに変えてrを音位転換させてさらにgcにしてできるのがconverge「収束する」です。すべてがcon-「一緒に」曲がって一個所に収斂させることです。converge「収束する」の接頭辞 con-di-「向こうに」に変えるとdiverge「分岐する」とか「それる」という語ができます。diverge「それる」はwrist「手首」の「グルグル回る」という意味が「曲がる」という意味に変化し てしまっています。aniversary「記念日」とはani-「一年に」一度、ver「回って」くる日のことです。converse「談話する」とはcon-「一緒に」会話を回すように言葉のキャッチボールをするという意味で す。「回る」に可能を意味する接尾辞の-ileをつけ るとversatile「多才な」という形容詞ができます。versatile「多才な」とはwrist「手首」のようにヒョイヒョイと何にでも対応することがクルクルとでき るという意味です。自由自在にクルクルと何にでも回転、つまり変化することができるのがversatile「多才な」という形容詞です。一方、di-「あっちへ」と回転するという意味から変化したのがdiverse「異なった」です。ある共通の集団から離れて「向かって」しまったとい う意味です。相手を敵のように振り向いて相手に対面するのがadverse「反対の」です。ad-「対面して」verse「振り向く」という意味から現在の意味になりました。adverse「反対の」と良く似ている語がaverse「嫌って」です。a-「向こうに」振り向いて好まないというのが原義です。avert「避ける」もa-「向こうに」あるものを「向けさせる」という意味から現在の意味になり ました。controversial「議論の」は対立して振り向いているというのが原義です。wrist「手首」と同じ意味の語はどうも「対立した」とか「嫌った」というよう に否定的な意味の語が多いような感じがします。離れて振り向くという意味のdivorce「離婚させる」もこの回転するという意味から発展してきました。version「訳書」もまた1つの言語から別の言語へと「回転させ」られ他ものです。verse「韻文」は韻を踏むために文章が途中で「回転して」次の行へ移行しま す。verse「韻文」とはこのようにもともとは「回転する」という意味だったので す。「回転する」にre-「二度」 という接頭辞をつけるとreverse「逆 にする」ができます。一つの回転軸を中心としてくるくると回っているのがuniverse「宇宙」です。universe「宇宙」とは回転軸をuni-1つ」のものが回転しているものです。advertise「広告する」も回転させるものですが、自らが回転するのではなく、人々 の「関心」や「注意」をad-「自分の 方へ」「向かせる」というのが原義です。クルクルと回転する代表は多分、vortex「渦巻き」でしょう。またvertebra「脊椎骨」もその骨を中心として動物が回転できるから、そのように命じ られました。自分がvertebra「脊 椎骨」を中心に回転するとvertigo「め まい」が生じます。昔、ヒッチコックの映画でvertigo「めまい」とい題の映画がありました。生き物が回転して生じるvertigo「めまい」とは異なり幾何学的なものが回転する回転軸の上の点をvertex「頂点」といいます。三角形の一番上の角のことです。このvertex「頂点」から真下におろされた線をvertical「垂直の」線といいます。すべてwrist「手首」の親戚です。

大福様の belly 「お腹」には budget 「予算」がいっぱい

お腹というとathlete たちの sixpack とか fourpack のようなものでなく、大福様のお腹のように bulging 「腫れた」大きなものをイメージするのが一般的です。bulge したものが belly 「お腹」なのです。正確には abdomen でしょうが一般的には belly 「お腹」です。belly y bulge g と対応しています。もともと「腫れた」とか「膨れ上がった」という意味でベッドに置かれた pillow の支えになるような巨大なものを bolster 「長枕」といいます。これは pillow の支えみたいなものですから建築用語では bolster beam 「梁」を支えるための柱の頂上につける「肘木」のことで動詞では「補強する」という意味ですが、ちょうど柱の上の膨れ上がったものなのでそのように名つけられました。 bolster 「肘木」とは column 「柱」の belly 「お腹」みたいなものです。人間の身体や柱とは異なって海上で嵐の時に waves が膨れ上がるのが billow 「大波」です。ぽっこりと大きくなった wave という意味です。またアコーディオンの空気を送る部分を bellows 「蛇腹」といいます。お腹のように膨れ上がったり縮んだりする部分です。牛などが鳴く bellow 「鳴く」とは区別しなくてはいけません。こちらは bell 「ベル」から派生しています。 belly 「お腹」のようなふっくらとした入れ物をフランス語では bouge と言って皮でできた袋のことでした。これから比喩的に袋の中に入れておくお金という意味から現在の budget 「予算」が出てきました。budget 「予算」とはもともとは belly 「お腹」と同じような膨らんだ袋という意味から、その中にあるお金を意味するようになった換喩なのです。

solid 「固体」は health 「健康」のもと

catholic 「カトリック」とは cat- 「下」から「完全に」という意味に変わった接頭辞と hol 「すべて」という語根から構成されていて「信仰している普遍的な人」という意味です。最近ではプロテスタントやほかの宗教や無宗教など、「普遍的な」という意味はあてはまることができなくなりましたが、 whole とか all という意味だったのです。 catholic とは違って接頭辞のない holistic 「全体論の」はそのままで whole という意味です。全体にすることを consolidate 「統合する」とか「合併する」といいます。 whole のすることです。 第2次世界大戦中のナチスが行った holocaust 「ホロコースト」は「すべて」をcaust 「焼く」ということです。すべてを焼き殺すというのが原義です。 arctic「北極」の全体を holarctic 「北極地方の」という形容詞にも使いますが、動物学では「全北区の」とは nearctic 「新北亜区の」と palaearctic 「旧北亜区の」の両方の地域を合わせた fauna が似ている区域を表します。 hologram 「ホログラム」とはレーザー光線と別の光源との干渉から生まれた「すべて」を描いた 3D 画のことで、そのような技術を holography 「ホログラフィー」と言います。「全体」を表すギリシャ語系の接頭辞が sol h から s に変わっていますが、この「完全に」とか「全体」を表す語が solder 「ハンダ」で solid 「固体」の親戚です。 solidify 「固体化する」は「完全にする」というのが原義です。 solemn 「威厳」はもともとは宗教的な儀式の「すべて」という意味でこれらが health 「健康」を表す語と親戚だったのです。英語の文かにおいては「欠けていない」「完全」なものが healthy 「健康な」ものと考えられていました。ゲルマン語系の同じ意味の単語が wholesome 「健康な」です。もともと「完全な」とか「全体の」という意味です。 solicitate 「懇請する」とは sol- 「全く」 cite「興奮させられた」という意味で何かを強く求めるとか懇願するという意味です。昔は prostitute が「誘惑する」という意味で使われていました。 solicitous 「案ずる」は anxious と同じ意味で「心配する」という意味と「欲しがる」という意味の両方があります。これら sol はもともとは saluburious 「健康的な」とか save 「救う」と同根なのです。

ultra 「極端な」人は parallel 「平行な」ものを好む

日本語にもなっている ultra 「極端な」という語はもともとは beyond 「向こうの方」という意味で身内とは異なった others 「他人」のことを表す語でニュアンス的には enemy 「敵」に似ていた。「向こうの方」から「他の」とか「別の」という意味になり、これらがいろいろな単語に発展していった。alien 「外国人」とか「宇宙人」はもともと beyond our planet に住んでいる人や beyond our country に住んでいる人で another person とか others という意味である。そのように扱うのが alienate 「疎外する」で身内ではなく外国人とか宇宙人として扱うことである。具体的に「他の人」を表すのではなく、「他のもの」に変えることを alter 「変える」という。また足などを交互に交替することを alternate 「交替する」で電気ならば alternating current 「交流」となる。 AC とは波が上下と相互に交替する電流で direct current 「直流」の反対となる。 direct current take turns しないのである。alternative another choice で「向こうの」つまり「別の」手段となる。また二人が代わる代わる罵り合うのを altercation 「口論」となる。お互い順番に悪口を言い合うことである。他人が入りこみプラスのニュアンスを表す語が altruism 「愛他主義」である。 altruistic 「愛他的な」とは others である他人のことを中心に考えることで selfish 「利己的な」の反意語である。自分の名前以外に別の名前を alias 「別名」とか「偽名」という意味である。昔、アップルコンピューターでもとのソフトやドキュメントのショートカットを alias と言っていたのであるが、今も言っているかどうかは知らない。やはり others はネガティブな単語が多く、もともとは純金に不純物を入れて別のものにするのを adulterate 「不純にする」と言っていたが adultery 「不義」や「不倫」に現在は使われる。言語学でよく使われる inalieable 「譲渡不可能な」は別のものにすることができないという意味で possessor possessee との関係で分離不可能な状態を表す時に使われる。一方、other を表す al-はギリシャ語では all- l 2つ重なり parallel 「平行」や allele「対立形質」に使われる。 allele allelomorph 「対立形質」ともいわれ突然変異で発生した遺伝子の別の形のことである。ある元素が異なった別の物理的形をもつことを allotropy 「同素」という。alibi 「アリバイ」は犯行があった時間に別の場所にいたことを証明する証拠である。最後に allegory 「寓話」とは人が集まる agoria = public place での別のものという意味であったがなぜ「寓話」になったのかちょっと不明。

rapid 「急激な」流れは raptatorial 「捕食動物の」源だった

rapid 「急激な」とは ravine 「渓谷」を流れる川の水のスピードを描写する形容詞で、複数語尾の -s をつけた rapids とすれば「急流」となる。これは rush of water でその流れの中にいるものを急激に流し奪うところから raptatorial 「捕食動物の」という意味になり「奪う」とか「略奪する」という意味に発展する。raven 「略奪する」は動詞で predacious 行為を行うことである。奪う行為や奪われたものを ravin 「略奪」とか「餌食」となる。 predacious 「捕食の」は raptatorial 「捕食動物の」と同じく rapid が音位転換して隠れているような気がする。 rapid d predacious d が呼応しているのではないだろうか。predacious raptatorial な行為はあまりもの greed から来ているので rapacious 「貪欲な」とか「強欲な」という形容詞にも現れる。あまりよい単語ではないが女性の意志を無視して奪うのが rape 「強姦」である。この語は後に「(女性を)略奪する」という意味にも発展した。また ravine 「渓谷」は急に水かさが増して洪水を引き起こし周辺に大打撃を与えます。その様子を表したのが ravage 「破壊」とか ravages 「惨害」です。また略奪行為とはことなり人の心を急流のように奪うのが ravish 「心を奪う」である。「うっとりさせる」という意味で ravishing 「魅惑的な」はその形容詞である。心を奪われた状態が rapt 「恍惚とした」である。そのような状態の名詞を rapture 「有頂天」とか「歓喜」というし、そのような状態を enrapt 「うっとりとしている」と言う。奪うことは奪うのであるが相手が知らないうちにこっそりと sub- 「下」から奪うのが surreptitious 「秘密裏の」である「こそこそ」奪うことである。ロマンス語系の「奪う」の rapt- がギリシャ語では r ではなく l になるのであると思う。 意識を急激に奪うのが epilepsy 「癲癇」である。 narcolepsy 「ナルコレプシー」とはフランスの医師の Gelineau の造語で「睡眠発作」のことでやはり意識を奪い numbness の状態にすることである。 catalepsy 「カタレプシー」も同じく長時間意識を奪いある姿勢を保持し続ける行為で日本語では「強硬症」という。

steganography 「ステガノグラフィー」には水鳥のdeck 「デッキ」が必要

steganography 「ステガノグラフィー」とは暗号の一種で、書かれているテキストをなにかで覆って見えなくするものです。接頭辞の stegano が「覆う」という意味です。水鳥で webbed feet のあるのを steganopodes 「全蹼目」と言います。全蹼目とは鳥の足に覆いのある水かきのある鳥でペンギンとかウなどの水鳥のことです。何を覆うかによっていろいろと意味が変わります。まず建物の家を覆うものが thatch です。thatch 「屋根ふき材料」とは一般に「わら」や「カヤ」などで家を覆うことを言います。名詞だとその覆う材料のことです。庭や船などで何かを覆うのを deck 「デッキ」といいます。デッキは日本語では「甲板」と言います。 thatch steganography t th になり g ch に変化していますが、 deck では t d にさらに ga ck に変わってしまっています。家を草で覆うのではなく、もっと丈夫なものが tile 「タイル」でその形容詞が tegular 「瓦の」となります。人間を覆って外敵から身を守るのが protect 「守る」です。なにか staganography みたいに覆われて見えなくなっているものの覆いをとるのが detect 「見つける」です。また裁判官や昔の人々が覆っていたガウンみたいなものを toga 「トーガ」といいます。世の中から身を隠すように生活している悪漢を thug 「凶漢」とか「悪漢」といいます。もとはインドの刺客団の人のことでした。人間だけでなく植物や動物にも「覆う」ところから形成された語があります。 tegmen 「包被」とか「外被」のことです。種を包む外被の内側や外側のことです。 tegmen は人間だと tegmen tympani で「鼓室蓋」となります。解剖学用語ではほかに tectum で「中脳蓋」となり tegmentum 「蓋」とか中脳の「被蓋」となります。昆虫で tegmen となると「翅鞘」となる。 tegmen は昆虫の翅を収めるカバーの堅い翅なのです。完全変態する昆虫のさなぎの状態が翅や足が身体を覆い堅くなった状態を obtect 「皮殻のある」という形容詞になります。昆虫ではなく鳥となると tectrix 「雨おおい羽」となり、やはりカバーするものです。人間や動物を覆うものは integument 「外被」となります。植物では「珠被」といいます。

carbon 「炭素」は autography 「自伝」に必要

carbon 「炭素」はフランス語起源の charcoal 「炭」の前半部分と同じ意味で、もともとは「暖める」という意味だったのだと思う。 charcoal 「炭」も carbon 「炭素」も燃やすと熱を出すものです。英語で cremate 「火葬にする」も燃やすことであるし ceramic 「セラミック」は高熱で clay を焼いたものである。家の中において火を起こして暖める道具が hearth 「炉床」で一般に「暖炉」のことである。 hearth 「暖炉」では c h になっている。医学用語の carbuncle 「よう」とは「カルブンケル」のことで深い紅色の潰瘍みたいなものである。carbuncle 「カルブンケル」とは何か焼いたようなものという意味であろう。 carbon 「炭素」の形容詞は carbonaceous 「炭素の」で、炭火焼きの料理が carbonado 「カルボナード」でスパゲッティになると carbonara 「カルボナーラ」となる。すべて炭火焼きの料理というのが原義なのでしょう。一見、 carbon 「炭素」とは似ても似つかないのが c g に変えて音位転換した graphite 「黒鉛」である。フラファイトは鉛筆の芯のもとであるから、これから描くという語根の autography 「自伝」とか biography 「伝記」とが生まれた。描くはもともとは炭素という意味だったのである。 stenography 「速記」とは短く描くことであるし monograph 「小研究論文」とは1つのテーマに関してのみ描かれた論文のことである。光で描くのを holography 「ホログラフィー」とか hologram 「ホログラム」という。 epigram 「寸鉄詩」とは上にちょっと描かれたものである。

door 「ドア」は forest 「森」への入り口だった

印欧語の音の相関関係で d = f というのはあまりない。 dusk 「夕暮れ」と obfuscate 「ぼかす」の d f の関係のようにゲルマン語系の単語は d で始まり、ロマンス語系は f となる。このまれなのが door 「ドア」と foreign 「外国の」である。両方とも「戸」を意味していて door の方は内側と外側との境界線であり、 foreign 「外国の」はその door の外という意味でした。比喩的に outdoors というのが foreign だったのです。 foreign 「外国の」までいかず、もっと近くの door の外が forest 「森」です。 forest 「森」は door を挟んで外側の区域を表していました。家などをローンで購入したものの残金を払えなくなってしまうと自分の家の door の外に出なくてはいけなくなります。このような状態が foreclose 「抵当流れにする」です。 door を閉めて抵当設定者を追い出すことで名詞では foreclosure 「抵当権実行」と言います。この実行を民間の会社ではなく国家が行うと forfeit 「はく奪没収する」となります。 forfeit 「没収する」とは政府などが住居者などの権利を奪い家の外に追いやることです。forfeit feit factory と同根の make という意味ですので forfeit 「没収する」とは文字通りには make outside of the door というのが原義です。 door を挟んで内側は private な空間で外側は public な空間ですから forum 「広場」とか「公開討論会」とは秘密裏ではなく公に door の外側で行うことという意味です。最近の裁判は秘密裏ではなく公開で行われますから forum は裁判用語ではそのまま「裁判」とか「公の裁き」という意味になります。 forensic 「法医学の」とか「科学捜査の」はもともとは outdoors という意味だったのです。人体の中で door と考えられていたのが thyroid 「甲状腺」です。ロマンス語系では f なのですがギリシャ語系では th となります。このように考えるとゲルマン語系とギリシャ語系はロマンス語系よりも似ているような気がします。 thyroid 「甲状腺」とは trachea 「気管」への door と考えていたみたいです。左右両方にありますから door はどうも hands とか legs pants と同じく開き戸で2枚の戸が合わさってできているものをイメージしていたみたいで、昔はよく doors と複数形で使われていました。 thyroid は複数形で表されることはあまりありませんが左右対称の二つがペアになっている器官です。

doctor 「医者」は disciple 「弟子」を直す人

doctor 「医者」はもともとは medical doctor 「医者」のことではなく宗教的な導きを行う「師」という意味でした。 doctor 「医者」の doc とは conduct 「導く」と同根で受け入れられるようにする人という意味です。その受け入れの根拠になるのが doctrine 「教義」やdogma 「教義」です。現代でも docent 「講師」という言葉に残っていて doctor はやはり doctrine 「教義」を教える人という意味です。 docent 「講師」は大学以外に美術館のガイドをするボランティアの人にも使います。doctor 「師」が doctrine 「教義」を教えるのに使うのが document 「資料」だったのです。一方、教わる人が disciple 「弟子」です。 disciple 「弟子」は doctor 「師」と違って「学ぶ」人のことです。「教える」と「学ぶ」は converse 「逆態」の関係にあるので同じ語源から発達した語を使います。 disciple 「弟子」の中にも簡単に学ぶ人もいれば、手こずってなかなか思うようにいかない弟子もいます。前者の簡単な弟子を描写するのが docile 「従順な」です。 docile とは doc 「教える」のが -le =able 「できる」という意味で現代語で言うなら teachable ということです。docile 「従順な」 disciple 「弟子」はなにごとにも deign 「快く行う」人です。そのようにして doctrine 「教義」を学んだ人を描写する形容詞が decent 「上品な」です。見苦しくない礼儀正しい人のことです。そのような人は dignity 「威厳」や「品位」を持つことになります。dainty 「上品な」とか「優美な」ともいいます。 dignity 「威厳」や dainty 「上品な」は「導く」から一歩進んで「導かれた」という意味になり、さらにそこから「(賞賛の)価値のある」という意味に変化しました。そのような人たちは dignified 「威厳のある」ようになります。一方、 dignity dainty さがないのを indign 「価値のない」とか「恥ずべき」という形容詞でなんらかの罰を必要とします。その罰の価値のあるという形容詞が condign 「(罰が)適当な」とか「当然の」という意味です。一方、否定語がついても肯定的な意味で使われるのが indignant 「憤慨した」です。 indignant とは不正や不平等に対して怒っているという意味で emotional angry 「怒っている」とは異なります。これらすべて disciple 「弟子」が doctrine 「教義」に従って学ぶものである discipline 「躾」や「学問」と関係があります。 discipline 「学問」も最近では単一の学問では問題が解けなくなっていろいろな分野に渡った interdisciplinary 「学際的な」研究がさかんになっています。

shame 「恥」は sky 「空」ほどに高い

shame 「恥」とか shameful 「恥ずかしい」はもともとは感情の1つを表す語ではなく hide 「隠す」と同根で naked 「裸の」状態を「隠す」という意味でした。 Eve が禁断のリンゴを食べてそれまで naked 「裸の」状態であったのを shameful に感じて葉で隠したことから生まれたともいわれています。shame scum 「浮き粕」と同じく「隠し」「覆っている」もので sky 「空」と同じです。 sky を地球を「覆い隠し」ているものです。 skim 「皮膜」で動詞になると「表面のかすをすくいとる」という意味です。 shame 「恥」と同じく「隠す」もののことです。h k になったり c になったりします。また最初の s は消えて hide 「隠す」とか「覆う」になります。 house 「家」も hut 「小屋」も heaven 「天空」もすべて「隠すように覆う」ことです。 house hut のように大きなものではなくもっと小さな「隠す」ものが cell 「細胞」です。 cell 「細胞」は membrane 「膜」でおおわれていて、中の nucleus 「核」や cytoplasm 「細胞質」を「覆い」隠しているものです。この cell 「細胞」は建築物になると「独房」や「地下室」になります。大切なものや囚人を隠しておく場所なのです。 cell 「細胞」は affix となると cyto- とか -cyte となり、l t に変わります。leukocyte 「白血球」とは「透明な」「細胞」という意味です。「食べる」という意味の phago をつけると phagocyte 「食細胞」になります。 cytoplasm 「細胞質」とは cell 「細胞」が plasm 「作られたもの」というのが原義です。覆いかぶさっているものの一つが cuticle 「表皮」です。日常的には動物の皮膚や人間の髪の毛の「表皮」を意味します。 cuticle 「キューティクル」は単に hide 「皮」と同じ意味です。subcutaneous 「皮下の」は hide の下のという意味です。覆うことで相手を守ったり、確保したりすることを custody 「拘留」とか「保管」といいます。 custodian 「管理人」は「保護したり」「守衛する」人のことです。最後に shame 「恥」と同じく敵の攻撃から身を「隠す」ものが shield 「盾」でこれも house shame hide と同じ語根から発達した語でした。

postulate 「公準」は pray 「祈る」ことで産まれた

theorem 「定理」になる前の前提でる postulate 「公準」は proposition assumed to be true without proof ということで axiom 「公理」と同じことであるが、もともとの意味は ask とか request という意味であった。 request (someone) to an ecclesiastical office という意味で pray 「祈る」と同じ意味だったのである。Browne a self-evident proposition demanded to be true という意味で使ったのである。 pray ask earnestly という意味で結局は(神への)request とか demand という意味である。postulate 「公準」と pray 「祈る」は全く似ても似つかぬ単語であるが、両方とも ask とか demand という意味で postulate 「公準」は pray r s となり母音が変化したものでもともとは同根であったのであろう。deprecate 「非難する」とか「しないように嘆願する」は pray against という意味で disapprove とか depreciate という意味に変わった。against de- ではなく in という意味の接頭辞 in- をつけると imprecate 「呪う」ができる。 imprecate 「悪いものを要求する」とは祈って悪を引き入れるという意味である。prie-dieu 「祈祷台」とは文字通り pray God という意味で膝まづく台と祈祷書を置く台のついた祈りのときの台である。 postulate 「公準」に ex- をつけると expostulate 「諫める」ができる。 expostulate 「諫める」とは deprecate 「非難する」と同じく disapprove という意味である。どうも pray postulate のもとの語は神に対して ask して否定的なニュアンスの原罪みたいなものを取り除くように懇願するというような意味があったような気がする。最後に precarious 「不安定な」とか「危険な」とは prayer 「祈り」によるだけのものというのが原義である。強く望まれただけという意味で何の根拠もないもののことを描写するときに使われる。

oily 「愛層がいい」のはsycophant 「追従屋」

おべっかを使うとか追従的なことを表す英語はいろいろなものから発達している。まずは oily 「愛層がいい」のオイル。オイルは表面がざらざらしたものに apply することで「すべすべ」にするところから unpleasantly ingratiating という意味になった。 oil l t に変わってもオイルを表す。この代表が unctuous 「お世辞たらたらの」である。 unctuous はオロナイン軟膏の成分説明にあるように ointment と同じ語源でもともと oil という意味である。だから unctuous というと oily と同じく unpleasantly ingratiating という意味である。石鹸の soap はポルトガル語から借用したシャボンと同じである。soap はもともとは sieve とふるいにかけるという意味であるが、多分、動物の脂肪を sieve してできたものという意味でやはり oil と同じ意味である。だから soapy 「へつらいの」も unpleasantly ingratiating という意味になるのである。また oil と同じ語源の oleaginous 「口先のうまい」も distastefully complimentary という意味になる。oil はザラザラな表面を flat smooth にするので同じように表面を滑らかにする slick 「いかさま師」も oily な人を表す。toad からできた toady 「ごますり」も追従的という意味である。 toady というと日本ではガマの油売りを浮かぶのであるが西洋でもそうかどうかはわからない。 toady とは毒を持っていると信じられていた toad を食べる大道薬売りのアシスタントのことを表すみたいであるが、どことなく油と関係するような気がする。

ギザギザの表面を平にする代表が flatter お世辞を言う」である。デコボコを flat にすることであるから flatter unpleasantly ingratiate という意味になる。また物理的にギザギザなものというより抽象的なピリピリする辛辣なものを mild にいうことでも同じような意味の語を発生させる。 blandishment 「おだて」とは何かを相手にさせる目的でよく言うことである。 blandishment bland mild と同根である。

このような人は compliment too much なくらいに入っているので fulsome 「べた褒めの」も同じように flattering to an excessive degree となる。このような追従的な人はいつも big shot のお尻にくっつきついて回るので follow を意味する seque を使って obsequious 「こびへつらう」ともいう。この動詞が adulate へつらう」である。動詞よりも名詞としての adulation 「追従」の方が一般的であるが、語源的には wag one's tail という意味だったみたいである。つまり追従的というのは犬が主人にジャレまとわりつくことから生まれた表現みたいである。adulation はラテン語からであろうからどこにも tail という語がない(多分ラテン語の「尾」は caudaであろうから)が、もしかしたら英語の tail adulate ulate の中に隠れているのかもしれない。犬はとにかく追従するという意味に発展する。犬が主人をみつけてじゃれ喜ぶのを fawn といい、これも媚びるという意味であるし、犬かどうかわからないが bootlicking 「ごますりの」もブーツをなめて媚びるという意味になる(犬がなめるかどうかはわからないが)。

歴史的な出来事から生まれた追従的なという意味が sycophant 「おべっかもの」blarney 「お世辞」である。 sycophant fig という意味でギリシャ時代イチジクの輸出が禁じられていた時代、それを密輸する人を役人に伝える人達を表し、指でイチジクのような形をつくり軽蔑したところから追従者という意味になったみたいである。一方、 blarney はアイルランドのブラーニー城の石にキスをするとおべっかのできる流暢な話し方ができるという伝説からこれも追従的なという意味に発展したみたいである。 最後に apple polish 「ご機嫌を取る」はリンゴを磨いて先生にあげ、先生の御機嫌を取ることから追従的なという意味に発展しました。


discuss 「議論する」のは concussion 「脳震とう」の後

discuss 「議論する」とか「討論する」はもともとはそのような意味ではなくこんがらがった問題などを「振るい落とす」という意味で、多くの人で行うのでそれが「議論する」とか「討論する」という意味になった。だから元の意味は shake apart とか shake off という意味なのである。だから前置詞の about は当然必要がなく、そのまま目的語をとる純然たる他動詞で、目的語が複雑に絡み合った topic とか issue とか problem difficulty がくるのである。つまり discuss とは「問題」などを「振るいにかけて余分なものを取り外す」という意味なのです。 rescue 「救う」も discuss と同根で danger risk を「振るって」元に戻すという意味から、現在の意味が確立されました。これらすべて concussion 「脳震とう」と同じ意味です。 concussion は当然、脳を強く shake させた結果生じる病気です。これらは当然 squash 「押しつぶす」とか percussion 「打楽器」と同じ意味です。

pedigree 「家系図」は crane 「鶴」の足跡

pedigree 「家系図」は鳥の足跡に似ているから「鳥の足」というのが原義であるとずっと思っていたのであるが、なぜ gree が「鳥」を意味するのか不思議に思っていた。鳥は aviation 「飛行」の avi とか ornithology 「鳥類学」の ornith が鳥を表すのでなぜ、これらが gree になるのか不思議に思っていたが、 gree bird を表すのではなく crane 「鶴」を意味する語であるとわかって納得した。普通 crane 「鶴」というとなんとなく形が鶴のようであるからそのように命名されたと考えるのが普通なのであるが、残念ながら crane 「鶴」は形ではなく「鳴き声」を意味する語なのである。crane 「鶴」は crow 「カラス」と同根で「ガーガーうるさく鳴く鳥」というのが原義である。他にも crake 「クイナ」や corncrake 「ウズラクイナ」などうるさい鳥を表している。grackle は「ホシムクドリ」でアメリカでは「ムクドリモドキ」である。鳥だけでなく croak 「ガーガー」というカエルなどの鳴き声や crack 「バリッ」というような割れた音なども crane と同根なのである。さらには「カリッ」とする固く焼いた biscuit cracknel 「クラックネル」や「豚の脂肉の小片」も crane 「鶴」の親戚である。形態論で問題となる cranberry words cranberry cran-crane 「鶴」でアメリカで鶏肉料理用のソースに使われたベリーである。果実が crane のようであるところから命名された花が geranium 「ゼラニウム」つまり「フウロソウ」である。

ankle 「かかと」と knee 「ひざ」は同じだった

中世の騎士が領主に忠誠を誓い進言するときに片膝を曲げる。これを genuflect 「ひざを折る」という。 genuflect 「ひざを折る」は騎士だけでなく、結婚を申し込むときにもよくなされる。もともとはカトリック教会での礼拝の時のポーズである。genuflect は直訳をすると knee bending という意味である。 genuflect の前半部分が knee 「ひざ」を表す。この knee はもともとは reflect flect と同じく bend 「曲げる」という意味である。ゲルマン語系の knee genuflect g k に変わっているが同じことである。 解剖学では膝の曲がったものを表す形容詞が geniculate 「膝状の」という。文字通りには little knee という意味である。knee 以外にも曲がる部位が ankle 「かかと」である。knee ankle も両方とも bend という意味である。ここから曲がった2辺がつくる空間である角度もこの言葉を使って表す。 angle 「角」は ankle 「かかと」と同じ意味で両方とも「曲がった」というのが原義であるが ankle は「曲がるもの」で angle は「曲がったものの作り出すもの」という意味である。 decagon 「十角形」や pentagon 「五角形」や octagon 「八角形」の gon angle ankle と同根で knee と同じ意味である。 diagonal 「対角線」は angle angle を結ぶ「線」であり、 polygon 「多角形」は「角」の多い図形である。trigonometry 「三角法」は triangle 「三角形」の angle 「角」や side 「辺」の関係を表す数学の一分野である。この「角」がなくなると agonic 「無偏角線の」という意味になります。「角のない」という意味です。

tryst 「あいびき」は trust 「信頼」がないと存在できない

なにかあやしい雰囲気を醸し出す tryst 「あいびき」とお堅い trust 「信頼」が同じ語源からでてきたとはなかなか信じがたいかもしれませんが、両方とも同じ tree 「木」という意味が原義なのです。 tree tree でも oak tree 「樫の木」で堅くて頑丈な tree という意味です。この tree は「木」そのものや、「木」に似た植物などいろいろな語に発展していきます。ギリシャ語では tree ではなく dendro となり神経細胞の dendrite 「樹状突起」となります。 dendrite 「樹状突起」は別に鉱石の「摸樹石」のことをも表します。dendrite は単に tree という意味なのです。「形」を意味する接尾辞 -oid をつけると dendroid 「樹木状の」という形容詞ができます。木の年輪から年代を探ることを dendrochronology 「年輪年代学」といいます。夏にオレンジの花を咲かせる蔓状のノーゼンカズラのような植物を philodendron 「フィロデンドロン」といいます。「木を好む植物」という意味です。この dendron に「バラ」を意味する接頭辞 rhodo- をつけると rhododendron 「シャクナゲ」ができます。 rose tree というのが原義です。oak tree は堅く長持ちするので durable 「耐久性のある」という語ができます。長持ちするのはいいのですが、長く拘留されると durance 「監禁」になります。それをじっと耐えるのが endure 「耐える」でそれが長く続くと人は indurate 「無感覚」や「強情」になります。それが続くと obdurate 「頑固な」そして「冷酷な」人に変わってしまいます。 durance 「監禁」のような人の自由を奪い強引に強制的に抑え込むのを duress 「脅迫」とか「拘束」と言います。そのような状況に置かれると人はやはり dour 「陰気な」「頑固な」人になってしまいます。 tree は一方では「堅実な」とか「確固不抜の」という言い意味にも変化しました。簡単に約束を破らないしっかりとした trust 「信頼」の置ける人やその行動をも表します。 trig 「こぎれいな」とは tree のように trusworthy 「信頼のおける」人にすることを意味します。形容詞としても使います。木そのものを「こぎれいに」するのを trim 「刈り込む」と言います。これは wild な木ではなくこざっぱりとした trig tree にするということです。決して約束を破らず信頼し続けることを truce 「休戦」と言います。trustful true 「本当な」状態のことでお互いが信頼し合っている状態のことです。 assignation 「あいびき」とか rendezvous 「あいびき」と同じ意味の tryst 「あいびき」も実は true truce と同じく「約束を破らない時間での集合場所」という意味ですが、やはりニュアンスは怪しい二人の「あいびき」や「あいびきの場所」です。 true love であって欲しいものです。


iron 「鉄」は神様の ire 「怒り」

iron 「鉄」は神様の金属だと思います。人間が愚かなことをするときに真っ赤になって燃え上がった iron ire 「怒り」になりました。 ire は人間の emotional anger 「怒り」とは異なり人間の冒涜に対する神の indignation なのです。天変地異は神の ire の表れです。神様が怒った状態が irate で怒りっぽいのを irascible といいます。ちょっとの怒りは irritable といいますが、これも燃え上がる iron からきたのではないかと想像しています。 iron の最初の部分はロマンス語では h が入っていてもともとは hier というようになっていました。 iron hierarchy 「階層」と同根です。 hierarchy はもともとは iron ruling ですが、iron は神様の金属ですから sacred rule という意味に変わりました。 hieroglyph 「楔文字」はもともと sacred letters という意味で hierogram 「神聖文字」と同じです。神聖な統治という意味の hierarchy 「階層」はもともとは神に仕える angel rank を表したものです。ちなみに angel はランクの中で一番下の神への仕えです。

gold 「金」も silver 「銀」も同じ?

gold silver は周期表では11族であまり化学ではでてこない。1族や2族や17族と異なり、単なる precious metals としか話題に入らないが、化学記号をみると原子番号47Ag silver 79Au である。それぞれ argentum aurum とラテン語表記が元素記号となっている。 それぞれの語尾の -um は金属を表す接尾辞である。 argentum は当然 Argentine と同根で、アルゼンチンとは銀の国という意味である。もともとは多分ギリシャの Argos と同じであると思う。Sparta の天敵である。Argos は「輝ける国」という意味である。同じ輝きを意味する語でも太陽の輝きを意味するのが aurum で、もとは夜明けの「太陽の昇る」ことを表していた。だから aurum は「始まり」という意味と「輝き」という意味がある。aurum からできた語が aurora で北のオーロラを aurora borealis といい南のオーロラを aurora australis という。Argentine と同じく southern hemisphere に位置する Australia は「南の国」という意味であるがもともとは「太陽の出る国」という意味で東も南も昔の人は同じような方角であると思っていたのではないだろうか。そうすると east 「東」と Australia の前半部分が非常に似ているのが理解できる。east は多分ギリシャ語系で Australia Austria aust- はラテン語系のスペルだと思う。そうすると aur- が「日が昇る東」であるから orient 「東洋」や eolithic 原石器時代の」の eo-と同じ語根であることが理解しやすい。始まりを2つつなげたEocene 「始新世」は east Australia eo-「始まり」と cene 「始まり」を2つつなげた「始新」となっている。もとは east 「東」という意味だったのであろう。ギリシャ神話のあけぼのの女神 Eos 「エーオース」、ローマでは Aurora 「アウローラ」とすべて同根なのである。

monomer 「単量体」は emeritus prof 「名誉教授」の発明

mononer 「単量体」とは1つの分子から構成されるものです。2つになると dimer 「二量体」となりたくさんの分子がつながったものを polymer 「重合体」といいます。一般にはポリマーとか高分子化合物というのが普通です。この語根の mer part とか share という意味です。 monomer one part, dimer two parts そして polymer many parts という意味です。部分を表す mer は言語学では meronymy とは part whole relations のことです。部分と全体の意味的な関係を分析する分野でこれが哲学になると mereology 「メレオロジー」となり部分と全体との論理的特性を研究する分野です。一方、生物学では meristem 「分裂組織」とは permanent tissue ではなく分裂能力を残し続けている、成長の原因になっている部分の組織を指します。another という意味の allo と部分をつなげると allomerism 「異質同形」ができます。生物学というより化学用語で構成は異なるが結晶構造がにているものを言います。またギリシャ語の同じを意味する iso- と部分の mer isomer 「異性体」があります。組成式は同じだが構造が異なるために化学的性質の異なったものという意味です。この部分を表す mer merit 「利点」や demerit 「欠点」の mer と同じです。 merit とか demerit は単純に part という意味ですが、これは分け前の part つまり share というのがもともとの意味でした。「分け前」のことです。そこから「報酬」とか「長所」という意味に発展しました。退官した顕著な教授に emeritus professor 「名誉教授」という title を授与することがあります。「名誉」な照合の感じがしますが、実際は out of share つまり「報酬のない」という意味です。名誉職ですから報酬のない名前だけの professor ということです。また meretricious 「けばけばしい」というネガティブな単語も merit 「報酬」から来ました。昔 prostitute は「報酬」を得るため「はでな」けばけばしい恰好をしたので報酬の意味の mer を使って現在の意味に変わってしまいました。


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